瓜子姫の戸を開けさせる
川で洗濯をしていた老婆が大きな瓜を拾い、家で割ると中から女の子が生まれた。老夫婦は瓜子姫と名づけて育てる。姫は美しく、機織りも上手になり、やがて立派な家から婚礼の話が来た。
老夫婦が支度で留守にした日、天邪鬼が戸口に立つ。姫は言いつけを守るが、天邪鬼は指一本だけ、手だけと頼み、少しずつ戸を開けさせる。中へ入ると姫を連れ出し、柿の木へ登らせた。姫を縛る型、落として殺す型、皮をはいで着る型が各地にある。

語りの移り変わり
- 古代記紀神話に、人の心を探り天の使いを射させる天探女が登場する。
- 中世仏像で四天王などに踏まれる小鬼が天邪鬼と呼ばれるようになる。
- 近世以降『瓜子姫』の悪役として、各地に異なる筋の昔話が広がる。
- 現在何でも反対する人の性格を指す普通名詞としても使われる。
姫の姿で婚礼へ行く
天邪鬼は瓜子姫の着物を着て、老夫婦の家へ戻る。顔や声まで似せているため、迎えの者は偽物と気づかない。婚礼の行列が出ようとすると、木の上や鳥の声が「その姫は天邪鬼だ」と知らせる。
正体を見破られた天邪鬼は追われ、粟畑や蕎麦畑へ逃げ込む。捕らえられて打たれ、その血が作物の根や茎を赤くしたという結末もある。瓜子姫が助かるかどうかを含め、同じ題名でも話の厳しさは土地によって大きく違う。

天探女からひねくれ者へ
『古事記』『日本書紀』の天若日子の段には、天探女という女が登場する。天から使いに来た雉の鳴き声を不吉だと言い、天若日子に射るよう勧めた。人の心を探る名と、天の命令を妨げた行動から、天邪鬼の起源とする説がある。
仏像では、四天王が足元で踏みつける小鬼を天邪鬼と呼ぶこともある。さらに日常語では、わざと人と反対のことを言う者を「あまのじゃく」と呼ぶ。神話の女、昔話の小鬼、踏まれる鬼、ひねくれた性格が、同じ名の中へ重なっている。






