現代怪異資料館MODERN KAIKI ARCHIVE
奇怪千万現代怪異資料館赤い紙・青い紙
FILE 33 / 学校・トイレ

赤い紙・青い紙

あかいかみ・あおいかみ

どちらを選んでも逃れにくい二択

放課後の学校で、一人の子どもが便所へ入る。用を足してから、紙がないことに気づいた。すると仕切りの向こうから、低い声が聞こえる。『赤い紙がいいか、青い紙がいいか』。赤を選べば血まみれになり、青を選べば血を抜かれて真っ青になる。どちらも選ばず逃げようとしても、扉は開かない。

夕暮れの学校トイレに赤と青の無地の紙が落ちる
夕暮れの学校トイレに赤と青の無地の紙が落ちる

紙のない便所

よく知られた舞台は、校舎の端にある古い便所である。いちばん奥の個室、または使ってはいけないと決められた個室へ入ると、外から『赤い紙がほしいか、青い紙がほしいか』と尋ねられる。声の主を確かめようとしても、扉の下に足は見えない。

赤と答えた子どもは刃物で切られ、服が血で赤く染まる。青を選ぶと首を絞められ、顔から血の気が引く。質問に色で答えなければ助かるという版もあり、『黄色』と言うと汚物の中へ落とされる、『紙はいらない』と言って逃げる、といった切り抜け方が子ども同士で付け足された。

学校便所の空の紙入れから赤と青の細長い紙が伸び、個室の床へ二方向の影が分かれる場面
学校便所の空の紙入れから赤と青の細長い紙が伸び、個室の床へ二方向の影が分かれる場面

語りの移り変わり

  1. 昭和期学校や地域の子ども集団で、便所の声が二色の紙を選ばせる話が各地に伝わる。
  2. 1990年代児童書、映画、テレビの『学校の怪談』ブームを通じ、赤と青の版が広く知られる。
  3. 2003年『いまに語りつぐ日本民話集 学校の怪談』に、赤い手・青い手、赤い紙・白い紙の採録例が収められる。

赤と白になる土地

二色は赤と青に限られない。大阪府で採録された話には『赤い紙、白い紙』があり、新潟県には赤い手と青い手を選ばせる話が残る。国際日本文化研究センターのデータベースには、赤い紙を選ぶと便所へ引き込まれ、青い紙を選ぶと急に年を取るという例も収められている。

誰が声をかけるかも一定しない。見えないお化け、亡くなった生徒、赤い外套を着た男、便所に住む手だけの怪物など、土地によって姿が与えられた。質問と二色が残っていれば、結末や正体を変えても同じ怪談として通じた。

学校便所の個室で紙が切れ、児童の背後から赤い紙か青い紙かを選ばせる声が響く
学校便所の個室で紙が切れ、児童の背後から赤い紙か青い紙かを選ばせる声が響く

低学年へ伝わる話

採録記録には、小学校の低学年、とりわけ一年生の間で話が広まる様子が記されている。上級生が新入生へ便所の場所を教える時に話し、聞いた子どもが別の教室で結末を変えて語る。学校ごとに『何番目の個室』という場所が決まり、その年度の校舎に合わせて細部が更新された。

1990年代に『学校の怪談』の児童書やテレビ番組が相次ぐと、赤と青の版が全国で知られるようになった。それ以前に採録された赤白の話や、赤い外套を名乗る古い怪談も一緒に紹介され、現在は複数の系統が交じった形で語られている。

赤い紙を選んだ児童の前へ赤い怪人が現れ、個室の壁と床が血のような赤へ染まる
赤い紙を選んだ児童の前へ赤い怪人が現れ、個室の壁と床が血のような赤へ染まる
明るい無人便所で施設担当者が白い紙を補充し、赤と青の紙片を箱に分ける場面
日常の設備確認と、怪談として採録する色紙を分けて扱う
青い紙を選んだ児童を青い顔の怪人が締め上げ、個室全体が冷たい青い闇へ沈
青い紙を選んだ児童を青い顔の怪人が締め上げ、個室全体が冷たい青い闇へ沈
SOURCES

主な参考資料