現代怪異資料館MODERN KAIKI ARCHIVE
奇怪千万現代怪異資料館メン・イン・ブラック
FILE 62 / UFO・黒服の訪問者

メン・イン・ブラック

めんいんぶらっく

目撃者の戸口へ来て沈黙を求める時代外れの男たち

1953年、コネティカット州で国際空飛ぶ円盤局を主宰していたアルバート・K・ベンダーは、会報の発行と団体活動を突然やめた。理由を尋ねる仲間に、彼は『上からの命令』を受けたとだけ話す。後にベンダーは、黒い服を着た三人が自宅へ現れ、円盤の秘密を教えたうえで、二度と調査するなと命じたと語った。三人の目は光り、硫黄のような臭いがしたという。

1953年の薄暗い部屋で、UFO研究家ベンダーの前に黒服の三人が無言で立つ場面
1953年の薄暗い部屋で、UFO研究家ベンダーの前に黒服の三人が無言で立つ場面

ベンダーの屋根裏部屋

ベンダーは1952年、自宅を事務局にして国際空飛ぶ円盤局を始め、会報『Space Review』を発行した。翌年、三人の黒服が壁を通るように屋根裏へ現れたと、のちに回想する。三人はテレパシーで話し、円盤研究をやめなければ危険だと告げた。ベンダーは頭痛と恐怖に襲われ、会員へ活動停止を知らせた。

同時代に公開された停止理由は曖昧で、三人の詳しい姿は後から書かれた。ベンダー自身の著書『Flying Saucers and the Three Men』が出たのは1962年である。それまでに、友人のUFO作家グレイ・バーカーが話を一冊の本へしていた。

青白い顔と赤い唇の黒服男が目撃者の玄関で古い身分証を見せる場面
青白い顔と赤い唇の黒服男が目撃者の玄関で古い身分証を見せる場面

語りの移り変わり

  1. 1952年アルバート・ベンダーが国際空飛ぶ円盤局を設立し、会報を発行する。
  2. 1953年ベンダーが団体を閉鎖し、後に黒服の三人から警告されたと語る。
  3. 1956年グレイ・バーカーが『They Knew Too Much About Flying Saucers』を刊行する。
  4. 1990~97年コミックと映画が、黒服を異星人を管理する秘密組織として描く。

『知りすぎた者たち』

バーカーの『They Knew Too Much About Flying Saucers』は1956年に刊行された。ベンダーの活動停止を軸に、UFOを調べた人のもとへ黒い背広の男が来る複数の話を並べる。秘密機関の職員なのか、円盤の乗員なのかは決めず、口止めに来る訪問者としてまとめた。

バーカーはUFO雑誌『The Saucerian』を発行し、読者から届く奇談を面白く書き直すことでも知られた。彼の書簡と原稿を所蔵するクラークスバーグ=ハリソン公共図書館は、本人を『ほら話の語り手で、いたずらを仕掛ける人』とも紹介している。メン・イン・ブラックの初期像には、事実の調査と出版上の演出が最初から混じっていた。

夜の住宅街に光沢ある黒い大型車が停まり、二人の男が家を見上げる場面
夜の住宅街に光沢ある黒い大型車が停まり、二人の男が家を見上げる場面

黒い車で来る不自然な男

1960年代以降の報告では、黒いキャデラックやビュイックが目撃者の家へ止まり、二人か三人の男が降りる。黒いスーツ、黒い帽子、白いシャツという服装は古風で、身分証を一瞬だけ見せる。撮った写真や円盤の破片を渡すよう求め、見たことを話せば家族に危険が及ぶと告げる。

男たちは唇に口紅を塗ったように赤い、髪がかつらに見える、食べ物やペンの使い方を知らないとも語られた。政府職員を装っているのに、人間の日常を学び切れていない。こうした細部が増えるほど、実在機関の捜査員より、UFOから来た者に近づいた。

目撃写真を机に置いた女性へ黒服の男が無表情で手を差し出す場面
目撃写真を机に置いた女性へ黒服の男が無表情で手を差し出す場面

映画の秘密組織

1990年に刊行が始まったローウェル・カニンガムのコミックは、黒服の男たちを超常現象を管理する秘密組織にした。1997年の映画『メン・イン・ブラック』では、エージェントが記憶消去装置を使い、地球に暮らす異星人を監督する。訪問者は目撃者を脅す怪人から、世界を守る職員へ変わった。

映画の黒服は機敏で洒落た制服を着る。ベンダーの三人は輪郭がぼやけ、部屋に硫黄臭を残した。名称は同じでも、1950年代の会報を閉じさせた訪問者と、映画の秘密組織は反対の役目を持っている。

食堂で黒服の訪問者がフォークの使い方を知らず周囲を観察する場面
食堂で黒服の訪問者がフォークの使い方を知らず周囲を観察する場面
路地の端で三人の黒服が同時に振り返り、霧の中の車へ戻る場面
路地の端で三人の黒服が同時に振り返り、霧の中の車へ戻る場面
SOURCES

主な参考資料