ガジュマルに住む赤い子ども
キジムナーの姿は土地や話によって異なるが、小柄で、髪や顔が赤い子どものようだとよくいわれる。住み家は、太い幹から気根を垂らすガジュマルの古木。昼は見えなくても、夜になると木を離れて海や集落へ出た。
沖縄では妖怪や魔物を広くマジムンと呼ぶ。キジムナーもその一つに数えられるが、いつも人へ害をなすわけではない。家の者と親しくなり、働きを助け、富をもたらす話もある。付き合い方を誤らなければ、近所の友人のような存在だった。

語りの移り変わり
- 伝承期沖縄各地で、古木に住み人と漁をする小さな精霊の話が語られる。
- 近代民俗調査によって、呼び名、姿、好物、禁忌の地域差が記録される。
- 20世紀後半沖縄伝承話資料センターなどが話者の音声と梗概を収集する。
- 現在沖縄を代表する精霊として、絵本、舞台、観光施設でも紹介される。
一緒に舟へ乗る
キジムナーは漁が得意で、人を舟へ誘う。一晩で多くの魚を取るが、魚の目、とりわけ左目を先に食べる。人間は目を欠いた魚を受け取り、家へ持ち帰った。こうして暮らしが豊かになったという話が各地にある。
一方で、嫌いなものもはっきりしている。屁をひどく嫌うため、関係を断ちたい男が舟の上でわざと放屁し、二度と来ないようにしたという昔話もある。火や熱い鍋を恐れるともいわれ、細部は島や集落ごとに変わる。

木を焼いた家への仕返し
久米島の民話では、古木に住むキジムナーがおじいさんと仲良くなり、一緒に漁へ出ていた。夫婦が不審に思い、留守の間にその木を焼くと、帰る場所を失ったキジムナーは逃げていく。話によっては、その後、家や舟を焼いて仇を返す。
古木は木陰を作り、風除けとなり、集落の目印にもなる。そこを住み家とするキジムナーの話は、木をむやみに切ったり焼いたりすることへのためらいを残した。沖縄県立博物館・美術館には、各地で採録された異なるキジムナー話が保存されている。






