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奇怪千万現代怪異資料館アノーラ・ペトロヴァ
FILE 97 / ネット怪談・未来を書くページ

アノーラ・ペトロヴァ

あのーらぺとろう゛ぁ

自分のWikipediaを開くと、まだ起きていない試合結果が記されていた

中学八年生のアノーラは、フィギュアスケート大会の前夜、緊張で眠れずに自分の名前を検索した。まだ無名の選手なのに、Wikipediaには彼女の記事がある。そこには、翌日のクリスタル・クラシックで優勝したと過去形で書かれていた。次の日、アノーラは本当に初優勝を果たす。

大会前夜のホテルで、若いフィギュア選手が自分の未来の優勝を記すWikipediaページを見る場面
大会前夜のホテルで、若いフィギュア選手が自分の未来の優勝を記すWikipediaページを見る場面

翌日の優勝が書かれたページ

最初は父親か所属クラブが励ますために作ったのだと思った。だが父は否定し、記事に書かれたとおりアノーラが優勝する。その後も大会の前日にページを開くと、順位がすでに記載されていた。十五歳で地域大会を制するという記述も現実になり、両親は高額なコーチ、セルゲイを雇った。学校を離れて練習に専念し、オリンピックを狙う生活が始まる。

ところが、次の地区大会では元親友のブリーが優勝候補だった。焦ったアノーラはWikipediaのアカウントを作り、自分が勝者になるよう記事を編集する。更新後に表示されたのは順位ではない。『アノーラ・ペトロワは、自業自得の目に遭う身勝手な女だ』という一文だった。

翌日の氷上でアノーラが演技を終え、予言通り首位の表示を見上げる場面
翌日の氷上でアノーラが演技を終え、予言通り首位の表示を見上げる場面

語りの移り変わり

  1. 中学8年の冬(作中)アノーラが未来の優勝を記した自分のWikipedia記事を見つける。
  2. 数年後(作中)記事を編集しようとした後、事故と両親の死が文章どおり起きる。
  3. 18歳(作中)自分の死亡日を読んだアノーラがブリーへ最後のメールを送る。
  4. 2014年7月5日Creepypasta Wikiへ作者表記付きで掲載される。

折れたブレードと孤児の予告

翌日、ブリーの演技中にスケート靴のブレードが折れた。飛んだ金属片はアノーラの額を切り、事故の調査では、以前ブリーの靴を預かっていたアノーラへ疑いが向く。本人は細工を否定したが、競技会から追放され、セルゲイにも見放された。周囲の誰も口をきかなくなり、Wikipediaの記事は開くたびに彼女を罵った。

削除を依頼しても、Wikipedia側には該当ページが見つからない。ある金曜の夜、記事はアノーラを『哀れな孤児』と呼んだ。両親へ何度電話をかけても受話器から笑い声しか聞こえず、その夜、二人は事故で亡くなる。警察から返された両親の携帯電話には、アノーラがかけた履歴が一件も残っていなかった。

次の遠征先で、まだ起きていない得点が画面へ自動で追加される場面
次の遠征先で、まだ起きていない得点が画面へ自動で追加される場面

プラハ郊外からの最後のメール

十八歳になったアノーラは、事故の賠償金を受け取りスイスへ移る。競技会から離れた場所で滑り始め、やがてプラハ郊外のホテルからアイス・サーカスの選考を受けることになった。不安になった彼女は、長く避けていた自分の記事をもう一度開く。

ページには『アノーラ・ペトロワは友もなく一人で死んだ』とあり、死亡日はその日になっていた。彼女は疎遠になったブリーへ、これまでの経緯と画面の画像をメールで送る。ホテルの部屋へ鍵をかけ、日付が変わるのを待ちながら更新を繰り返す。残り数分になっても文章は消えない。メールは、疲れているのに画面から離れられないという言葉で途切れる。

作者名としてonepagewonder.comが記され、Creepypasta Wikiには二〇一四年七月五日に掲載された。本文は最初から最後までブリー宛てのメールであり、受信者からの返事も、午前零時以降の記録もない。

アノーラが自分で勝利の文章を入力すると、ページが不吉な家族の記述へ変わる場面
アノーラが自分で勝利の文章を入力すると、ページが不吉な家族の記述へ変わる場面
空のリンクを何度消しても複数の端末に同じ未来の記事が戻る場面
空のリンクを何度消しても複数の端末に同じ未来の記事が戻る場面
失踪したアノーラの部屋で、開いたパソコンに捜索中という最後の項目だけが表示される場面
失踪したアノーラの部屋で、開いたパソコンに捜索中という最後の項目だけが表示される場面
SOURCES

主な参考資料