フロイドの墓を抜ける
穴の先にある通路はあまりに狭く、二人は洞窟で命を落とした探検家フロイド・コリンズにちなみ『フロイドの墓』と名付けた。ヘルメットを外し、息を吐き切っても肩がつかえる。テッドは必要な高さを約八インチと見積もり、電動ドリルやハンマーを持ち込み、週末ごとに岩を削った。
作業中、奥から低い音が聞こえた。石を引きずるようでもあり、遠くで誰かが叫んでいるようでもある。Bが先へ抜けた日には、洞窟の奥から強い風が吹き、出口へ戻った後も二人は落ち着かなかった。それでも、苦労して開けた先を確かめずにはいられない。友人ジョーを加え、三人は奥の空間へ進んだ。

語りの移り変わり
- 2000年12月ごろテッドとBが洞窟内の小さな穴を掘り広げ始める。
- 2001年3月23日Angelfireで写真付きの探検記録が公開される。
- 2001年5月19日洞窟へ再び入るという最後の更新が掲載される。
- 後年作者が実際の探検をもとに超自然的な部分を加えた創作だと説明する。
壁の記号と背後の叫び
通路の先には、人の手で描いたような記号が並ぶ岩壁があった。床では古い革手袋のような物も見つかる。テッドは写真を撮ろうとしたが、洞内で機材の調子が崩れた。帰路につくと、背後から大きな叫び声が響く。三人は道具を残したまま狭い穴を抜け、振り返らず洞口まで逃げた。
その後、テッドは日常でも暗い穴が近くにある感覚に悩まされる。眠れば、洞窟の奥から何かが近づく夢を見る。Bやジョーにも同じような異変が起きていた。最後の更新で三人は、銃とナイフを持ち、置いてきた道具と答えを取りに戻ると決める。帰宅したらすぐ続きを書く。その約束の後、ページは更新されない。

写真のある二〇〇一年の怪談
ページの最初の日付は二〇〇一年三月二十三日、最後は五月十九日。無料ホームページサービスAngelfire上で、Ted Hegemannが自分の洞窟探検をもとに制作した。テッドとBが穴を広げた作業や掲載写真には実体験が含まれ、叫び声や超自然的な出来事は創作として加えられた。
当時のページは、本文を一度に載せるのではなく、写真付きの日記をリンクでたどる作りだった。場所と本名を安全のため伏せるという説明もあり、読者は更新中の個人サイトを偶然見つけたように読む。後年の調査では、作中の『ミステリー・ケーブ』は米国ユタ州の実在する洞窟とみられている。現実の掘削記録が残る一方、最後の探検だけは結果が書かれず、入口が開いたままになっている。






