現代怪異資料館MODERN KAIKI ARCHIVE
奇怪千万現代怪異資料館ノーエンド・ハウス
FILE 95 / ネット怪談・九つの部屋

ノーエンド・ハウス

のーえんどはうす

九室を抜ければ賞金が出る家は、自宅を十番目の部屋に変える

友人のピーターから、町外れにあるお化け屋敷の話を聞いた。部屋は全部で九つ。最後まで行けば五百ドルを受け取れるが、完走した者はいない。デイビッドは薬物依存のピーターが大げさに怯えただけだと思い、翌晩、一人で建物へ向かった。

夜の町外れでDavidが古いノーエンド・ハウスの玄関と挑戦案内を見る場面
夜の町外れでDavidが古いノーエンド・ハウスの玄関と挑戦案内を見る場面

安物の仕掛けから始まる九部屋

ロビーには係員がおらず、『部屋1はこちら。あと八つ。最後まで行けば賞金』という案内だけがあった。最初の部屋は、白い布のお化けと玩具の蜘蛛、決まった声を出す人形が並ぶ。二番目は暗く、三番目では天井から虫のようなものが落ちてくる。仕掛けが急に現実らしくなっても、デイビッドは先へ進んだ。

暗闇で何かが足元を走り、少女の姿が首を折る。壁も出口も消えた部屋では、自分で扉を描くまで閉じ込められた。別の部屋には、殺された両親の姿があった。偽物だと分かっていても、声や臭い、手に触れる感触まで記憶と一致する。建物は驚かせる装置ではなく、入った者が一番耐えられない景色を選び始めていた。

番号1の扉を開けると、照明のない空室と次の扉だけが待つ場面
番号1の扉を開けると、照明のない空室と次の扉だけが待つ場面

語りの移り変わり

  1. 2010年ごろBrian Russellの短編が4chanなどで流布し始める。
  2. 2011年6月30日Creepypasta Wikiに作者名付きで掲載される。
  3. 作中の一夜デイビッドが九部屋を抜け、五百ドルを受け取る。
  4. 2017年『Channel Zero: No-End House』としてテレビドラマ化される。

自分と同じ顔の男

八番目の部屋では、胸に名前を付けた男が椅子に座っている。顔も背丈も声もデイビッドと同じだった。男は、ここへ閉じ込めると言って立ち上がる。デイビッドは持っていたナイフで自分の胸と同じ場所を刺し、床が消えた暗闇へ落ちた。

九番目には光も音も手触りもない。何日たったのか分からなくなり、諦めたころ、細い光が見えた。扉を抜けると最初のロビーへ戻っている。机にはデイビッド宛ての封筒があり、完走を祝う手紙と百ドル札五枚が入っていた。彼は笑いながら車で帰る。自宅の玄関を開けるまでは。扉の内側に、小さく「10」と刻まれていた。

暗い部屋で見えない手がDavidの肩へ触れ、先の扉が赤く浮かぶ場面
暗い部屋で見えない手がDavidの肩へ触れ、先の扉が赤く浮かぶ場面

終わらない家のその後

作者はBrian Russell。本文は二〇一〇年ごろに4chanへ現れ、二〇一一年六月三十日付でCreepypasta Wikiへ掲載された記録がある。初めは固有の場所を持たない短編で、友人とのAIM上の会話や五百ドルという小さな賞金が、当時の身近なネット生活へ入口を置いていた。

作者は続編も執筆し、家から戻った後のデイビッドや別の人物を扱った。二〇一七年にはテレビシリーズ『Channel Zero』の第二シーズンが『No-End House』を原案に制作され、主人公や部屋の構成を変えた映像作品になった。原作の九部屋は出口まで一本道だが、最後の「10」によって、帰宅後の生活もまだ次の部屋なのかという疑いが残る。

自宅そっくりの部屋で家族の姿をした偽物たちがDavidへ戻るよう頼む場面
自宅そっくりの部屋で家族の姿をした偽物たちがDavidへ戻るよう頼む場面
九番目の扉を破って夜の屋外へ出たDavidが、手にした賞金を見て息をつく場面
九番目の扉を破って夜の屋外へ出たDavidが、手にした賞金を見て息をつく場面
帰宅後の寝室扉に赤い数字10が現れ、Davidの背後で廊下が暗く伸びる場面
帰宅後の寝室扉に赤い数字10が現れ、Davidの背後で廊下が暗く伸びる場面
SOURCES

主な参考資料