ハイビームが照らしていたもの
後続車は女性が速度を上げると追い、信号で止まれば後ろへぴたりとつく。ライトがつくたび、女性は眩しさと恐怖で前だけを見る。後ろの運転手はクラクションも鳴らすが、深夜の道で車を止める気にはなれない。
家へ着いた後、二人が後部座席を確かめると、ナイフや斧を持った男が床へ伏せている。男はライトが消えるたびに起き上がり、襲おうとしていた。後続車の運転手は、その頭が見えるたびにハイビームを当てて伏せさせた。

語りの移り変わり
- 1960年代給油所とハイビームを使う異版が米国で口伝えされる。
- 1968年『Indiana Folklore』第1巻に『The Killer in the Backseat』が採録される。
- 1981年『Scary Stories to Tell in the Dark』が『High Beams』として児童読者へ広める。
- 1998年以降映画、テレビ、チェーンメールで再話され、車へ乗る前の注意話として残る。
給油所から出してはいけない車
別の版では、女性が深夜の給油所へ寄る。店員は給油中に後部座席の男を見つけ、支払い用のカードに問題があると嘘をついて女性を事務所へ呼ぶ。女性は乱暴な店員に閉じ込められたと思うが、店員は鍵をかけ、外の車を指さす。
その間に殺人鬼が車から逃げる版もあれば、警察が到着して捕まえる版もある。女性の目には危険人物に見えた店員が助け手で、安心していた自分の車に犯人がいる。ハイビーム版と同じ逆転を、給油所の店内で見せる。

1960年代に採録された夜道
確認されている初期の活字例は、1968年の民俗誌『Indiana Folklore』に掲載された。すでに口伝えで複数の版があり、女性が買い物を終えて車へ戻る場面、給油所、トラックの追跡が組み替えられていた。
1964年には、逃亡中の殺人犯が車の後部座席へ隠れ、車の所有者である刑事に射殺された事件が報じられている。似た出来事ではあるが、都市伝説の直接の起源だったと確かめられたわけではない。車社会では、施錠前の後部座席が誰にでも想像できる隠れ場所だった。

まず後ろを確かめる
アルヴィン・シュワルツは1981年の児童向け怪談集『Scary Stories to Tell in the Dark』へ、この話を『High Beams』の題で収録した。1998年の映画『ルール』は冒頭で給油所版を再現し、観客が筋を知っていることまで利用している。
後部座席が低く、ヘッドレストや荷物で見えにくい車ほど、話は現実味を持つ。現代の車には集中ロックや車内灯があるが、夜の駐車場で乗る前に後ろを確かめる習慣は残った。怖いのは追ってくる車ではなく、すでに自分の車へ乗っていた男である。





