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奇怪千万現代怪異資料館黒い目の子供
FILE 48 / 海外・訪問者

黒い目の子供

くろいめのこども

雨の戸口で入室許可を求める子供たち

夜十時ごろ、テキサス州アビリーンの映画館近くで、ブライアン・ベセルは車を停め、郵送する小切手を書いていた。運転席の窓を二人の少年がたたく。映画を見る金を家へ忘れたので送ってほしいと言うが、話している間にも上映開始時刻は過ぎていく。年上の少年が顔を上げると、白目も虹彩も見えず、眼球全体が黒かった。

雨夜の玄関先に黒い目の二人の子供が静かに立つ
雨夜の玄関先に黒い目の二人の子供が静かに立つ

映画館の前に来た二人

ベセルの回想では、二人は十代前半ほどの少年だった。年上の方が『母親の家へ金を取りに戻りたい』『映画が始まるから急いでいる』と話し、車に乗せるよう求める。もう一人は黙ったまま地面を見ていた。映画館の看板には『モータル・コンバット』が出ていたが、最終上映が始まる時刻はすでに過ぎていた。

ベセルは理由の分からない恐怖を感じ、ドアを開けなかった。年上の少年は『ただの子どもだ』『許可してくれなければ車に入れない』と、同じ頼みを強い口調で繰り返す。顔を見たベセルは、二人の目が真っ黒であることに気づいた。彼は車を急発進させ、バックミラーを見る。少年たちはもう駐車場にいなかったという。

一九九六年の夜、映画館の駐車場に停めた車内で男性が小切手を書いている場面
一九九六年の夜、映画館の駐車場に停めた車内で男性が小切手を書いている場面

語りの移り変わり

  1. 1996年ブライアン・ベセルがテキサス州アビリーンの駐車場で、黒い目の少年二人に会ったとする。
  2. 1998年1月14日ベセルがUsenetのalt.folklore.ghost-storiesへ体験を投稿し、ネット上で引用され始める。
  3. 2000年代玄関先で電話や入室を求める話が各地から投稿され、子どもたちの外見と行動が定型化する。
  4. 2012~13年米国の超常番組と地元紙でベセルが体験を振り返り、動画や海外記事へ広がる。

1996年の遭遇、1998年の投稿

ベセルは地元紙アビリーン・リポーター・ニューズに勤めていた。遭遇した年は1996年とされ、1998年1月14日、幽霊を扱うUsenetのニュースグループへ長文を投稿した。後にベセル本人が質問へ答えるFAQを作り、2013年には地元紙でも体験を振り返っている。

初期の記録には、オレゴン州ポートランドで似た子どもに会ったという別人の報告も添えられた。二つの話がネットで引用されるうち、『Black-Eyed Kids』『Black-Eyed Children』という呼び名が定着する。1996年より古い目撃談が後から紹介されることもあるが、年代を確かめられる流布の起点はベセルの投稿とされている。

映画館へ戻るため母親の家まで乗せてほしいと少年が閉じた車窓越しに頼む場面
年長の少年は、映画を見るために母親の家へ連れて行ってほしいと頼んだ

玄関先へ移った子どもたち

後の体験談では、二人の子どもが雨の夜に家を訪ね、電話を貸してほしい、親が迎えに来るまで待たせてほしいと頼む。服装は古びているのに髪は濡れていない。住人がドアを閉めようとすると、『入れてくれないと電話は使えない』と静かに言う。

子どもを入れた版では、家の電灯が消え、飼い犬が怯える。住人は体調を崩し、子どもたちはいつの間にか姿を消す。こうした家屋版は、車の窓を隔てて話したベセルの筋より後に増えた。古風な服、青白い肌、二人一組という外見も、投稿によって揃ったり変わったりする。

二人の少年が顔を上げ、白目のない真っ黒な眼を車内の男性へ向ける場面
顔を上げた二人の眼は、白い部分のない一面の黒だった

超常番組から各国の動画へ

2000年代以降、黒い目の子供は超常現象のラジオ番組、書籍、テレビへ取り上げられた。2012年放送開始の米国番組『Monsters and Mysteries in America』では、ベセルが自分の体験を話している。黒いコンタクトレンズを使った再現映像は強い印象を残し、短編映画や動画の題材にもなった。

子どもたちの正体を吸血鬼、宇宙人、悪魔とする説明も現れた。どの説もベセルの投稿に書かれた答えではない。最初の話に残るのは、車の外に立つ二人が、ドアを自分で開けず、運転手から許可を得ようとしたことだ。助けを求める子どもを前にしても、ベセルは最後まで鍵を外さなかった。

真っ黒な眼の少年が助手席窓へ近づき、入るには許可が必要だと迫る場面
少年は、許可してくれなければ車へ入れないと繰り返した
男性が車を急発進させ、後写鏡の中に立ち尽くす黒い目の少年二人を見る場面
男性が駐車場を離れても、二人の少年は灯の下から動かなかった
SOURCES

主な参考資料