思い出の村を訪ねる
投稿者は両親に場所を尋ね、記憶を頼りに一人で山へ向かう。道順に間違いはない。以前なら村までの距離を示す看板が立っていた場所で、奇妙な表示を見つける。そこには『巨頭オ』とあった。嫌な予感はしたが、懐かしい村がどうなったか確かめたくなり、そのまま車を進めた。
村へ入ると、人の住む気配はなかった。建物には草が巻きつき、道も荒れている。投稿者が車を降りようとしたとき、二十メートルほど先の草むらから、人のようなものが一体出てくる。体に比べて頭が異様に大きい。周囲を見れば、同じ姿が何体も立っていた。

語りの移り変わり
- 2006年2月22日2ちゃんねるのオカルト板へ、山村の再訪と『巨頭オ』の看板を扱う短編が投稿されたとされる。
- 2000年代後半まとめサイトへの転載で広がり、看板の欠損や廃村の由来をめぐる考察が加わる。
- 2018年8月鹿児島県の山中で同じ文字の看板を見つけたという写真がSNSで拡散する。
- 現在朗読、動画、ゲームなどへ移され、巨大な頭の外見や村の設定を増やした版も流通する。
頭を振りながら追ってくる
大きな頭の者たちは、両手を脚へぴったり付け、頭を左右に振りながら車へ向かってきた。投稿者はドアを開けず、急いで車を後退させる。そのまま国道まで戻り、振り返らずに山を下りた。
帰宅して地図を開いても、訪れた場所は子どもの頃の村と一致していた。村がなぜ廃れたのか、旅館の人々がどこへ行ったのか、草むらの者たちが何者だったのかは書かれていない。投稿は、無事に逃げ帰ったところで終わる。

『オ』は欠けた文字なのか
読者の間では、看板はもともと『巨頭村』だったという説が広まった。風雨で『村』の一部がはがれ、『オ』のように見えたという考えである。『巨頭男』の文字が欠けた、入口を示す記号だった、初めから『巨頭オ』という地名だった、と別の案も出た。
ただし、原文に看板の古さや文字の欠損は書かれていない。投稿者自身も、なぜ表示が変わったのか説明していない。『巨頭村』という読みは、公開後に読者が加えた推測である。再話では推測が本文へ入り込み、最初から廃村の名だったかのように書かれることもある。

短い投稿から広がった村
『巨頭オ』は2006年2月22日、2ちゃんねるのオカルト板にある『死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?』系のスレッドへ投稿されたとされる。本文は数百字ほどしかない。村名も都道府県も書かれず、異形の者の顔つきさえ分からない。
その空白を埋めるように、まとめサイト、朗読動画、ゲームが村の位置や住民の姿を付け足した。2018年には、鹿児島県の山中で『巨頭オ』と書かれた看板を見つけたという写真がSNSで話題になった。写真の看板は原文の実在場所を証明するものではなく、周辺で同じ廃村が確認されたわけでもない。それでも、意味の分からない五文字だけで話を思い出せるほど、題名はネット怪談の中へ定着した。





