チワワだと思った動物
動物は小さく、皮膚病で毛がほとんどない。女性の手を舐め、食べ物を欲しがるため、捨て犬としか思えない。ホテルが動物禁止なら鞄へ入れ、国境では毛布に包む。動物検疫を避けたことが、後の災いを自分で家へ運ぶ場面になる。
猫を襲う版では、部屋が荒れ、床に血がついている。犬のつもりの動物はベッドの下で唸り、口に猫の毛をつけている。獣医はメキシコの下水鼠、ヌートリア、病気のコヨーテなど、その地域で嫌われる動物の名を告げる。

語りの移り変わり
- 1983年ブルンヴァンが、ティフアナから鼠を犬として持ち帰る話を採集する。
- 1986年都市伝説集『The Mexican Pet』が刊行され、表題作として広く知られる。
- 1980~90年代欧州や南米で旅行先と動物を替えた異版が報告される。
- 現在動物保護のニュースやネット怪談で、正体を取り違えたペットの話として再話される。
1983年に集められた話
民俗学者ジャン・ハロルド・ブルンヴァンは1983年にこの話を採集し、1986年の著書『The Mexican Pet』の表題にした。当初よく語られた版は、南カリフォルニアの女性たちがティフアナから『犬』を連れ帰る筋だった。語り手は、友人の友人に起きたこととして紹介した。
本がイタリア語へ翻訳されると、ブルンヴァンのもとには各国の異版が届いた。イタリア人がチュニジアから、英国人がスペインから、アルゼンチン人がブラジルから連れ帰る。近くの外国と、その国にいると想像された大きな鼠が組み合わされた。

犬と鼠を取り違えるまで
成体の鼠と犬は、頭部、足、尾、歯の形が大きく違う。獣医へ行くまで飼い主が見分けられない筋は、現実の観察より最後の驚きを優先している。重い皮膚病で毛がなくても、犬らしい肉球や鼠の切歯は残る。
鼠の大きさも再話で増え、猫を殺せるほどになる。大型のヌートリアやオポッサムが実在する地域では、その名に替わることがある。動物の正確な種類より、親切な旅行者が正体を知らず自宅へ入れたことが話の中心になる。

旅先を汚れた場所にする話
『メキシコの下水鼠』という呼び方は、外国の町を不潔で危険な場所と決めつける。主人公は現地の動物と規則を知らず、検疫を破って持ち帰るが、笑われるのは拾った側でもあり、舞台にされた国でもある。
近年は、保護した犬が実は狐やコヨーテだったという実際のニュースと一緒に紹介される。ただし猫を食べた巨大鼠の一件が記録で確認されたわけではない。旅行先と動物を替えながら、獣医の一言まで同じ形が残っている。





