現代怪異資料館MODERN KAIKI ARCHIVE
奇怪千万現代怪異資料館ファントム・クラウン
FILE 66 / 目撃騒動・道化師

ファントム・クラウン

ふぁんとむくらうん

学校の外と白いバンに現れ、捕まらない道化師

1981年5月、マサチューセッツ州ブルックラインの小学校で、子どもたちが『道化師の服を着た男たちに菓子を見せられ、車へ誘われた』と話した。赤と黒のバン、裸の男、長いナイフという説明も加わる。警察は学校周辺を捜したが、車も道化師も確認できなかった。数日後にはボストン各地、さらに他州の学校から同じ通報が届いた。

1981年の学校の柵外に派手な服の道化師が立ち、校庭の子どもが遠くから見る場面
1981年の学校の柵外に派手な服の道化師が立ち、校庭の子どもが遠くから見る場面

学校の外にいる道化師

1981年の通報では、道化師は一人ではなかった。白塗りの顔、色とりどりの衣装、兎や悪魔の仮面をつけた者が、バンの窓から子どもへ声をかける。菓子や金を見せ、車へ来るよう誘う。子どもが大人を呼びに走ると、車は消えている。

ボストン警察は学校へ注意を出し、保護者は集団登下校を始めた。報道が広がると、似た通報はロードアイランド、ニュージャージー、ペンシルベニア、カンザスへ飛んだ。外見と車の色は変わったが、『道化師が子どもをさらう』という一行だけが共通した。

白いバンの横で笑顔の道化師が風船を持ち、子どもたちは距離を取る場面
白いバンの横で笑顔の道化師が風船を持ち、子どもたちは距離を取る場面

語りの移り変わり

  1. 1981年5月ボストン周辺の学校で、道化師が子どもをバンへ誘ったという通報が相次ぐ。
  2. 1981年春~夏噂が米国各州へ広がるが、中心となる犯人や誘拐事件は確認されない。
  3. 2016年8月サウスカロライナ州の集合住宅から、森の道化師の通報が始まる。
  4. 2016年秋SNSと模倣行為で目撃が各国へ広がり、脅迫や武器所持による逮捕も起きる。

逮捕されない誘拐犯

警察は車両番号や現場を調べたが、子どもが実際に連れ去られた事件は確認できなかった。大人の目撃者、写真、放置された衣装も見つからない。子どもの悪ふざけ、見世物や宣伝の衣装、知らない車への不安が、同じ噂へ集まったと考えられた。

民俗学者ローレン・コールマンは、この連鎖を『ファントム・クラウン』と呼んで記録した。犯人が捕まらず、同じ日程で遠い町へ現れる点は、実際の連続誘拐より噂の動きに近い。それでも警察は、子どもの通報を無視せず、学校周辺の警戒を続けた。

親が公園へ駆けつける直前、道化師が木立の奥へ消える場面
親が公園へ駆けつける直前、道化師が木立の奥へ消える場面

2016年、森から手を振る

2016年8月、サウスカロライナ州グリーンビルの集合住宅で、子どもたちが森の中の道化師に金を見せられ、ついて来るよう誘われたと話した。警察が林を捜した後、報道とSNSで話が急速に広がる。全米の学校や道路から目撃が届き、大学が封鎖される騒ぎも起きた。

このときは、噂を知って実際に衣装を着る模倣者が現れた。ナイフを持つ、道路脇で車を追う、脅迫文を投稿するといった行為で逮捕者も出る。確認できない最初の通報と、後から起きた悪ふざけが互いを本物らしくした。

夜の住宅街で空の白いバンだけが停まり、街灯の下に道化師の影が伸びる場面
夜の住宅街で空の白いバンだけが停まり、街灯の下に道化師の影が伸びる場面

怖い道化師の顔

1981年には、連続殺人犯ジョン・ウェイン・ゲイシーの裁判と有罪判決が大きく報じられていた。彼が慈善行事で道化師に扮していた事実は、子どもを楽しませる衣装と犯罪者を結びつけた。1986年にはスティーヴン・キングの小説『IT』が、子どもを狙う道化師ペニーワイズを描く。

2016年の人々は、映画やネットで怖い道化師の顔をすでに知っていた。暗い森に一人で立つだけで、写真は説明を必要としない。仮面を外せば模倣者でも、次の町へ届く画像の中では、1981年と同じ捕まらない道化師になった。

2016年の森の端で、無言の道化師が道路の車を見つめる場面
2016年の森の端で、無言の道化師が道路の車を見つめる場面
懐中電灯を向けられた複数の道化師が畑を走って逃げる目撃場面
懐中電灯を向けられた複数の道化師が畑を走って逃げる目撃場面
SOURCES

主な参考資料