海の近くで三人が働き始める
夏休みを前に、大学生五人が海へ旅行する計画を立てた。そのうち三人は旅費を稼ぐため、現地の旅館で住み込みのアルバイトをすることになる。働くのは海に近い二階建ての民宿で、女将の真樹子、主人、近所から手伝いに来る美咲と一緒に客を迎えた。
仕事は客室の掃除、食事の支度、風呂の管理。昼の空き時間には海へ行き、女将たちとも打ち解けた。ただ一つ気になったのは、普段は使わないと聞いていた二階へ、女将が何度も上がることだった。

語りの移り変わり
- 2009年8月4日怪談投稿サイト「ホラーテラー」に匿名の長編として投稿される。
- 2009年以降2ちゃんねるの洒落怖やまとめサイトへ転載され、代表的な長編ネット怪談になる。
- 2023年永江二朗監督による実写映画『リゾートバイト』が公開される。
女将が運ぶ食事の行き先
夜になると、女将は一人分の食事を盆に載せ、二階へ持っていった。宿泊客も従業員もいないはずの場所である。三人は女将が下りるのを待ち、階段を塞いでいた扉を開けた。
二階の廊下には壁と見分けにくい戸があり、その周囲へ何枚もの札が貼られていた。中から物音がする。戸の前には、何日も置かれたような食事が残っていた。一人が隙間から部屋をのぞいた後、廊下を歩く音や人影が三人を追うようになる。女将は彼らが二階へ入ったと知り、旅館から出て行けと叫んだ。

寺の御堂で一夜を越す
三人は近くの寺へ連れて行かれた。僧は、それぞれに何かが付いていると告げ、御堂の中で一晩過ごすよう指示する。外から誰に呼ばれても返事をしない。決められた場所から動かない。朝まで戸を開けない。三人はその約束を何度も確認した。
夜が更けると、旅館で聞いた足音や声が御堂の周りへ集まってきた。知人の声が戸を開けてくれと頼み、床下からも人の動く気配がする。三人は夜明けまで中に残り、朝になって僧の祓いを受けた。

海で亡くなった息子
夫婦には、海で亡くした息子がいた。女将は息子を取り戻そうとして、寺から禁じられていた方法に手を出した。二階の部屋へ毎晩食事を運んだが、そこに戻ったものは生前の息子とは違い、旅館へ来た若い客や従業員に付いて外へ出ようとした。
忙しい時期でもないのに、なぜ三人を雇ったのか。僧は、女将が初めから若者を呼び込むつもりだったのではないかと疑った。真偽を確かめる前に、女将と主人は旅館を閉め、土地を離れたという。

ホラーテラーから洒落怖へ
保存された原文には、『怖い話投稿 ホラーテラー』へ2009年8月4日18時29分に匿名で投稿された記録が残る。書き手は大学三年の時の体験として発表し、ページごとに短いコメントを添えていた。2ちゃんねるの洒落怖やまとめサイトへ移ると、コメントは省かれ、本文だけが一続きで転載された。
2023年には永江二朗監督の実写映画『リゾートバイト』が公開された。映画では島へ来た若者たちが旅館の秘密を探り、原文とは異なる人物名と経緯で二階へ近づく。原文の女将と三人の大学生をそのまま映像にした作品ではない。




