脇道の先で白いものが跳ねてくる
父親は娘を連れたドライブの帰り、いつもと違う山の脇道へ車を入れます。人家も対向車もなくなったころ、道の先に白いものが立っていました。近づくにつれ、それが人のようで人ではない姿だと分かります。
肩の上に頭がなく、胸に顔が付いています。脚は一本で、体を跳ねさせながら車へ迫りました。「テン、ソウ、メツ」と低い声を繰り返し、窓の外を回ります。父親が大声で追い払うと、白い姿は山へ消えました。

語りの移り変わり
- 2007年2月5日父娘が山道で一本脚の白い怪異に遭遇する話が2ちゃんねるへ投稿される。
- 2007年以降まとめサイトで転載され、県境の場所や女性へ憑く条件が推測される。
- 現在ゲーム、漫画、動画で「テン、ソウ、メツ」と胸の顔を持つ姿が描かれる。
娘の中で声が続く
父が助手席を見ると、娘は白いものが消えた方向を眺めて笑っています。呼びかけても返事をせず、「はいれた、はいれた」と繰り返しました。体は娘のままなのに、声と表情だけが別のものへ変わっています。
父は急いで山を下り、見つけた寺へ助けを求めます。住職は娘を見るなり、山の怪が入っていると告げました。すぐに追い出せるものではなく、決められた日数のうちに戻らなければ、そのままになるという。父は寺へ娘を預け、結果を待つところで投稿を終えます。

宮城と山形の県境
投稿者は後の質問に、遭遇した場所を宮城県と山形県の県境と答えたと記録されています。具体的な峠名は書いていません。最上町と加美町の間にある田代峠ではないかという推測がネットで広まりましたが、投稿本文の地名ではありません。
ヤマノケという名も、作中で住職がそう呼んだ名です。「山の怪」や「山の気」を平仮名にしたものと説明されることがあります。既存の地域伝承に同じ姿と名があることを示す記録は確認されておらず、掲示板の話から知られるようになりました。

投稿後に増えた遭遇談
2007年2月5日の投稿後、同じ掛け声を聞いた、山で白い一本脚を見たという文章がまとめサイトへ集まりました。女性にだけ憑く、男性が声を聞いても何も起きないという決まりも、父と娘の結果の違いから広がります。
胸に顔がある姿は、特撮怪獣ジャミラや中国神話の刑天に似ると紹介されます。しかし、投稿者がどちらかを元にしたと示す記録はありません。再話の挿絵では腕の有無、顔の向き、脚の太さがそれぞれ違います。

寺に預けた後を詳しくしない版
転載によって、娘が四十九日後に戻る結末、戻らない結末、父親が寺から連絡を待ち続ける結末に分かれました。住職が告げる期限も表記が揺れています。初期投稿に近い本文と、後日談を名乗る文章を同じ続きとして載せるサイトもあります。
父親が道を外れた理由、白いものが車を選んだ理由、三つの音の意味は説明されません。はっきり残るのは、山道で見た姿よりも、帰りの車内で娘が「はいれた」と笑った場面です。




