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奇怪千万現代怪異資料館白いソアラ
FILE 40 / 道路・車

白いソアラ

しろいそあら

無人で現れる白いクーペの噂

中古車店の隅に、白いソアラが置かれていた。人気車なのに値段は相場よりずっと安く、店員は早く手放したそうにしている。若者が買い取り、高速道路で速度を上げると、助手席に誰もいないはずなのに女の声がした。ハンドルは手の中で勝手に切れ、車はガードレールへ向かう。事故の後、修理された白いソアラは別の中古車店へ運ばれ、また安い値札を付けられたという。

雨の山岳トンネル前に停まる無標章の白い旧型クーペを描いた白いソアラ
雨の山岳トンネル前に停まる無標章の白い旧型クーペを描いた白いソアラ

安すぎる高級クーペ

若者が中古車店で、欲しかった白いソアラを見つける。同じ年式の車より不自然に安い。事故歴を尋ねても、店員ははっきり答えず、買うならすぐ名義を移すと言う。若者は多少の修理歴なら構わないと考え、その日のうちに契約した。

最初の数日は何も起こらない。ところが、夜の高速道路へ入って一定の速度を超えると、アクセルが戻らなくなる。ハンドルも運転手の手に逆らい、以前の事故現場へ向かう。助手席へ白い服の女性が現れる版では、女性が運転手を見た瞬間に車が衝突する。

雨の夜の峠道で白い二ドアクーペがトンネル前を静かに通過する場面
雨の夜の峠道で白い二ドアクーペがトンネル前を静かに通過する場面

語りの移り変わり

  1. 1981年2月27日トヨタが初代ソアラを発売する。
  2. 1981~1982年ソアラが日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、高級クーペとして人気を得る。
  3. 1980年代前半以降事故を繰り返す白い中古ソアラの噂が若者や雑誌の間で語られる。
  4. 1990年代以降都市伝説集やインターネットで、所有者と事故原因を変えた版が流通する。

前の持ち主が残したもの

ある版では、最初の所有者は恋人を助手席へ乗せて事故を起こし、女性だけが亡くなった。別の版では、所有者自身が車内で殺されている。修理工場がシートを交換しても赤い染みが浮き、洗車した翌朝には窓の内側へ手形が付いていた。

事故車は廃車にならず、外装を直して中古車市場へ戻される。新しい所有者も同じ場所で事故を起こし、手放された車がまた店頭へ並ぶ。噂を聞いた人が車台番号を確かめようとすると、店は閉まっていた、車だけが別の町へ移っていたという結末もある。

雨の峠道で運転者のバックミラーいっぱいに白いクーペが突然現れ、ライトを点滅させる場面
白いソアラは背後へ突然現れ、追いかけるよう運転者を挑発する

1981年に登場したソアラ

トヨタは1981年2月27日、初代ソアラを発売した。デジタル表示の速度計、マイコン制御のオートエアコンなど、当時の先進装備を備えた高級クーペである。発売した年の日本カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、若者が憧れる車になった。

新車には手が届かなくても、中古なら買える。そんな時期に、安い車には理由があるという噂が重なった。車種をクラウンやスカイラインに替えた話もあるが、『白いソアラ』という題名は、車名だけで高価さと速さが伝わった1980年代の空気を残している。

雨の峠の急カーブで運転者の車と白いクーペが高速で競り合う場面
挑発に乗った運転者は、白いクーペとの危険な追走へ入る

車が運転手を選ぶ話

自動車をめぐる怪談には、売っても戻ってくる車、事故現場で同じ人影を乗せる車、持ち主を次々に死なせる車がある。白いソアラでは、それらが一台の人気車へ集められた。前の事故を隠して転売した店への不信も、話の中へ組み込まれている。

1980年代前半には、車を題材にした怪談が雑誌や若者の間で流れていた。白いソアラの噂も、実在する一台の車台番号ではなく、地域ごとに違う中古車店と事故現場を持つ。今もどこかの店で次の買い手を待っている、という一言で話は終わる。

白いクーペが雨のカーブで前へ出た直後、次の道路から完全に消える場面
追いついたはずの白い車は、次のカーブを曲がると忽然と消える
追走中の運転者が白いクーペの車内を見て、首のない男女が座っていると気づく場面
車内に首のない男女が乗っていたという異形の派生も語られる
SOURCES

主な参考資料