死んだと聞かされた恋人
萩原新三郎は、飯島平左衛門の娘お露と知り合う。お露は新三郎を慕い、次に会える日を待った。ところが間に入った医師・山本志丈は、身分の違いから面倒になるのを恐れ、二人を遠ざける。
志丈はお露へ、新三郎が死んだと伝えた。お露は食事も取れなくなり、やがて息を引き取る。忠実な女中のお米も亡くなった。一方、新三郎には、お露が死んだことさえ知らされなかった。

語りの移り変わり
- 中国明代瞿佑『剪灯新話』の「牡丹灯記」に、灯籠を持つ女の幽霊と男の恋が描かれる。
- 1861~1864年頃三遊亭圓朝が中国怪談を取り入れ、『怪談牡丹燈籠』を創作する。
- 1884年速記による刊本が出版され、圓朝の語りが広く読まれる。
- 明治以降歌舞伎、映画、テレビで、お露と牡丹灯籠の場面が繰り返し上演される。
牡丹灯籠が夜道を来る
盆の十三日、新三郎は夜道でお米とお露に出会う。お米は牡丹の飾りを付けた灯籠を持っていた。新三郎は再会を喜び、お露を家へ招く。それから二人は夜ごと訪れ、夜明け前に帰った。
近所の伴蔵が壁の穴からのぞくと、新三郎が抱いていたのは女ではなく骸骨だった。寺の和尚は命が危ないと告げ、家へ護符を張る。お露は中へ入れなくなり、戸口で新三郎の名を呼び続けた。

護符をはがした夜
お米は伴蔵と妻のお峰へ金を渡し、護符をはがすよう頼む。欲に負けた二人が守りを外すと、お露は再び新三郎の部屋へ入った。翌朝、新三郎はお露の骸骨を抱いたまま死んでいた。
圓朝の『怪談牡丹燈籠』は、この恋の話だけで終わらない。お露の父・飯島平左衛門をめぐる敵討ち、伴蔵とお峰が金を得た後の破綻などが絡み、登場人物の欲と嘘が別々の家をつないでいく。牡丹灯籠の場面は、その長編の一筋である。






