古典怪異図鑑CLASSICAL YOKAI ARCHIVE
奇怪千万古典怪異図鑑お露
FILE 97 / 怪談噺・亡霊

お露

おつゆ

牡丹灯籠を提げ、夜ごと新三郎を訪ねる女

浪人の萩原新三郎は、旗本の娘・お露と出会い、互いに思いを寄せた。ところが仲立ちした医師が二人を会わせず、お露へ新三郎は死んだと嘘を伝える。お露は悲しみのあまり亡くなり、女中のお米も後を追った。何も知らない新三郎の家へ、盆の夜、牡丹の花を飾った灯籠を提げるお米と、美しいお露が訪ねてくる。新三郎は二人が幽霊だと知らないまま、お露を毎晩迎え入れた。

盆の夜道で、お米が牡丹飾りの灯籠を提げ、お露が後ろを歩く場面
盆の夜道で、お米が牡丹飾りの灯籠を提げ、お露が後ろを歩く場面

死んだと聞かされた恋人

萩原新三郎は、飯島平左衛門の娘お露と知り合う。お露は新三郎を慕い、次に会える日を待った。ところが間に入った医師・山本志丈は、身分の違いから面倒になるのを恐れ、二人を遠ざける。

志丈はお露へ、新三郎が死んだと伝えた。お露は食事も取れなくなり、やがて息を引き取る。忠実な女中のお米も亡くなった。一方、新三郎には、お露が死んだことさえ知らされなかった。

萩原新三郎の座敷で、お露と新三郎が行灯を挟んで話す場面
萩原新三郎の座敷で、お露と新三郎が行灯を挟んで話す場面

語りの移り変わり

  1. 中国明代瞿佑『剪灯新話』の「牡丹灯記」に、灯籠を持つ女の幽霊と男の恋が描かれる。
  2. 1861~1864年頃三遊亭圓朝が中国怪談を取り入れ、『怪談牡丹燈籠』を創作する。
  3. 1884年速記による刊本が出版され、圓朝の語りが広く読まれる。
  4. 明治以降歌舞伎、映画、テレビで、お露と牡丹灯籠の場面が繰り返し上演される。

牡丹灯籠が夜道を来る

盆の十三日、新三郎は夜道でお米とお露に出会う。お米は牡丹の飾りを付けた灯籠を持っていた。新三郎は再会を喜び、お露を家へ招く。それから二人は夜ごと訪れ、夜明け前に帰った。

近所の伴蔵が壁の穴からのぞくと、新三郎が抱いていたのは女ではなく骸骨だった。寺の和尚は命が危ないと告げ、家へ護符を張る。お露は中へ入れなくなり、戸口で新三郎の名を呼び続けた。

近所の男が格子から覗き、新三郎が骸骨を抱く姿を見る場面
近所の男が格子から覗き、新三郎が骸骨を抱く姿を見る場面

護符をはがした夜

お米は伴蔵と妻のお峰へ金を渡し、護符をはがすよう頼む。欲に負けた二人が守りを外すと、お露は再び新三郎の部屋へ入った。翌朝、新三郎はお露の骸骨を抱いたまま死んでいた。

圓朝の『怪談牡丹燈籠』は、この恋の話だけで終わらない。お露の父・飯島平左衛門をめぐる敵討ち、伴蔵とお峰が金を得た後の破綻などが絡み、登場人物の欲と嘘が別々の家をつないでいく。牡丹灯籠の場面は、その長編の一筋である。

新三郎の家の入口に、僧が魔除けの札を貼る場面
新三郎の家の入口に、僧が魔除けの札を貼る場面
伴蔵が夜の戸口で札を剥がし、お露とお米が外で待つ場面
伴蔵が夜の戸口で札を剥がし、お露とお米が外で待つ場面
札が剥がされた戸口を牡丹灯籠のお露とお米が越え、新三郎の座敷へ入る
札が剥がされた戸口を牡丹灯籠のお露とお米が越え、新三郎の座敷へ入る
SOURCES

主な参考資料