大門ダム

山梨県

※肝試し等の行為を助長する意図はありません。
心霊スポットとされる場所の多くは私有地や立入制限区域を含む場合があります。
必ずルールとマナーを守り、近隣住民への配慮を忘れずに。

山梨県心霊スポット『大門ダム』前編 #オカルト #恐怖 #心霊スポット
心霊スポット情報提供元 全国心霊マップ 心霊​​ #オカルト #ホラー #一人肝試し

はじめに 清里の顔と、もう一つの顔

八ヶ岳の麓、山梨県北杜市。清里といえば高原リゾートのイメージが強い場所だ。
観光牧場、オルゴール館、カラフルなカフェ、そして爽やかな空気。
昼間に訪れれば誰だって「ここが心霊スポット? まさかね」と苦笑いするくらい、のどかな場所である。

だがそのすぐそばに、夜になると別の顔を見せる場所がある。

大門ダム、正式には山梨県営の多目的ダムで、ダム湖の名は清里湖という。昼間は観光スポットとしても機能しているこのダムが、夜になると「人魂が浮かぶ」「黒い影が追いかけてくる」「橋の上で女の霊を見た」といった怪異の舞台に変わると、長年にわたって語られてきた。

果たしてその実態は何なのか。いつものようにホンダのスーパーカブ110を走らせ、深夜の大門ダムへ向かった。

史料と歴史、なぜここにダムが建設されたのか

大門川と洪水の歴史

大門川は八ヶ岳を源とし、清里高原を流下して須玉川へと注ぐ富士川水系の河川だ。標高が高い分、勾配が急なこの川は古くから洪水の常習犯として恐れられてきた。

記録に残るものだけでも、明治43年(1910年)には大規模な水害が発生しており、昭和34年(1959年)の伊勢湾台風でも甚大な被害をもたらしている。山梨県はこれを受け、大門川・須玉川流域の治水対策として河川の拡幅工事を検討した。しかし、沿岸部はすでに宅地開発が進んでいたため断念。最終的にダム建設という選択をとることになる。

建設の経緯

工事が始まったのは昭和43年(1968年)4月のことだ。高さ65.5メートルの重力式コンクリートダムとして設計され、洪水調節・上水道の確保・発電という多目的を担う大型プロジェクトとなった。総事業費は173億円。清里高原のリゾート開発が盛んになる時代と重なり、峡北地域広域水道用水の供給も計画に盛り込まれた。

そして昭和63年(1988年)3月、約20年の歳月をかけてようやく完成。平成10年(1998年)には同じく山梨県営の塩川ダムが完成し、両ダムが連携して北杜市・韮崎市の洪水防止という大役を担うようになった。

ダム湖には「清里湖」という名が与えられ、完成後は観光スポットとしての顔も持ち合わせることになる。四季の彩りと八ヶ岳・南アルプスを背景にしたダムの風景は確かに絶景で、土木学会賞(技術賞)を受賞したアスファルト遮水壁という技術的な見どころもある。

だが、そんな「優良公共工事」の裏側で、いつしか別の噂が広がり始めていた。

怪異・噂・都市伝説の全記録 清里湖に溺れる恐怖

大門ダムに関する怪異の噂は、ネット上の体験談や地元で語られる怪談として複数存在する。以下に記録する。

① 欄干が低い 投身自殺の名所説

大門ダムが心霊スポットとして語られる一番の理由として挙げられるのが「欄干(橋の手すり)が低い」という構造上の特徴だ。
ダムにかかる橋の欄干が低いためか、投身自殺が相次いだと噂されている。
自殺者の実数については公的な記録で確認できていないが、「何件もあった」という話は地元でも複数の人物から語られており、噂の根幹を成している。

② 街灯の下に現れる「大きな黒い影」

最も有名な怪異のひとつが、街灯の直下に出現するという黒い影の目撃談だ。人間より明らかに大柄な、輪郭のはっきりしない黒い何かが、街灯の光の円の中にぬっと佇んでいる
そういった証言がいくつも存在する。

「最初は誰かが立っているのかと思ったが、近づいてもそこには誰もいなかった」「振り返ったら自分の後ろにいた」という体験談もある。

③ 人魂(鬼火)が浮かび、追いかけてくる

夜中に訪れると、水面付近をふわふわと漂う発光体を目撃するという証言がある。いわゆる人魂・鬼火の類だ。そしてこの光は単に浮かんでいるだけではなく、目撃者を認識すると追いかけてくるというのだから性質が悪い。

「逃げようとしたら速度が上がった気がした」「車に戻って出発しようとしたらフロントガラスの外に光が見えた」こうした証言は複数の体験談サイトで確認できる。

④ 橋の上に立つ半透明の女性

ダムにかかる橋の上で、半透明の女性の霊を目撃したという話も根強い。白っぽい服を着た女性が橋の欄干付近に立っており、近づくと消えるというのがテンプレ的な目撃状況だ。投身自殺の噂と結びついて「身を投げた女性の霊」として語られることが多い。

⑤ 「異世界」に迷い込む感覚

これは霊の目撃ではなく、感覚的な体験談として複数存在するタイプの怪異だ。大門ダムを夜間に訪れると、人の気配が完全に消え、時間の感覚がおかしくなり、「ここは現実の場所ではない」という強烈な違和感に包まれると語る人が多い。
周囲に民家の明かりも少なく、八ヶ岳の山裾という地形的な孤立感が、その感覚を増幅させているのかもしれない。

⑥ カメラや電子機器の誤作動

心霊スポット系のYouTuberやブロガーの検証記録の中には、大門ダムの橋付近でビデオカメラが急に停止した、バッテリーが満タンだったのに一瞬でゼロになったという報告もある。
よくある類型ではあるが、複数の別々の訪問者から同様の証言が出ているのは気になるところだ。

現地検証 深夜の清里湖で私が見たもの

2022年11月。この日は山梨県内の複数の心霊スポットを取材するため、朝から山梨県に入っていた。
日中のうちにロケハンと地元の人への聞き込みを済ませ、夜22時から本格的な撮影に入る予定だった。

いつもどおりスーパーカブ110で走る。
秋の山梨の夜は思った以上に寒い。
防寒着を余分に積んでおいて正解だった。

大門ダムに到着したのは夜23時を少し過ぎた頃。
当然ながら人の気配は皆無だ。
ダム周辺の街灯がぽつぽつと点いており、コンクリートの堰堤を照らしている。湖面の黒さが妙に深く、底が見えない。
八ヶ岳の稜線が夜空に溶け込んでいて、星は多かった。

橋の上に立ってみる。
欄干の低さは聞いていた通りで、確かにこれはちょっと怖い。
高所恐怖症でなくても、夜にここに立てば足がすくむタイプの人はいるだろう。落ちたら終わり、という緊張感は物理的に正当だ。

黒い影については・・・正直、街灯の光の当たり方がそれっぽく見えなくもない状況だった。
コンクリートの凹凸と影のパターンが、人の形に見えやすい構造をしているな、とは感じた。
ただ、明確に「何か」を見たわけではない。

人魂については目撃せず。
水面を眺めていたが発光体の類は確認できなかった。

特に何も感じなかったというのが正直なところで、さほど長居もせずに撮影を切り上げた。
ただ、切り上げた後でカブのエンジンをかけようとしたら、なぜか一発でかからなかった。
いや、寒さのせいだと思う。たぶん。

……たぶん。

地元民から聞いた話 怪談・其の一「街灯の下で待つもの」

ロケハン中に話を聞いた地元の年配の男性(60代・農業)が教えてくれた話だという。
今はもう引っ越したらしい彼の友人が、実際に体験したこととして語ってくれたものだ。

もう10年以上前の話になる、と彼は言った。

その頃、友人の田中(仮名)は夜遅くまで仕事をすることが多く、帰宅の際に大門ダムの脇の道をよく通っていた。
深夜1時を回る時間帯だ。
その晩も、田中はいつものように車を走らせていた。

ダムの堰堤に沿った道に差し掛かったとき、街灯の下に人影があることに気づいた。
こんな時間に? と思いながらも、田中はその人物に気を遣い、少しスピードを落として近づいた。

大柄な人物だった。
コートのようなものを着ており、顔は下を向いている。
田中の車が横を通り過ぎる瞬間、その人物はゆっくりと顔を上げた。

田中は思わずブレーキを踏んだ。

顔がなかった。
顔があるべき場所に、暗い布が垂れているような、のっぺりとした何かがあるだけだった。

悲鳴を上げる間もなく田中はアクセルを踏んだ。
ルームミラーを見ると、街灯の下にもう誰もいなかった。

翌朝、田中は頭痛と吐き気で起き上がれなかった。
体調が回復するまで一週間かかったという。
それ以来、田中は大門ダムを通る道を使うのをやめた。もちろん夜は二度と近づいていない。

聞き終えた私は「顔がなかった、というのはのっぺらぼうですかね」と尋ねた。するとその男性はしばらく黙ってから、こう言った。

「田中が言うには、のっぺらぼうとは少し違う、もっと暗い感じ、とにかく見てはいけないものを見たと思ったって」

夜の大門ダムで街灯の下に立つ何者かを見たという証言は、田中だけではないらしかった。

地元民から聞いた話 怪談・其の二「清里湖の底から」

もう一人、地元で生まれ育ったという女性(40代)から聞いた話だ。彼女は子どもの頃から「大門ダムには近づくな」と親に言い聞かせられて育ったという。

高校生の頃だった、と彼女は言った。

クラスに大胆な男子が数人いて、夏休みに大門ダムへ肝試しに行こうという話になった。女子は最初断ったが、結局4人で連れ立って夜のダムへ向かった。

現地はそれほど怖くなかった。ただ妙に静かで、風もないのに時々ひんやりとした空気が体を包んだ。男子たちは調子に乗って「出てこーい!」と叫んだりしていた。

帰り際、一人の女子が「水面に何かある」と言った。

全員が湖面を覗いた。月明かりに照らされた水の表面に、確かに何かが浮かんでいた。最初は流木か何かかと思った。だが、それはゆっくりと動いていた。

丸いものが複数。整然と並ぶように、水面をこちらに向かってくる。

誰かが「頭だ」と言った瞬間、全員が走り出した。

後日、その中の一人の男子が「夢を毎晩見る」と言い始めた。清里湖の底から、真っ黒な人の群れがこちらを見上げている夢だ。彼らの目だけが白く光っている。そして夢の中で彼自身も、いつの間にか水の中にいる。

夢は一ヶ月ほど続き、ある日突然止まったという。止まった日、彼は「湖に何かを返しに行った」と言っていたが、何を返したのかは誰にも話さなかった。

「今でもそこには行かない」と彼女は言って、少し笑った。怖い顔で。

噂の出どころを考察する

では、こういった怪談・都市伝説はなぜ生まれたのか。
私なりに整理してみたい。

「投身自殺の名所」説の検証

噂の核にある「投身自殺が多い」という話だが、公的な統計でその実数を確認することは難しい。ただ、欄干が低いという構造的特徴は事実として存在し、それが連想を生みやすい環境を作り出していることは否定できない。深夜に一人で訪れれば、誰でも「ここから落ちたら……」という想像が脳裏をよぎるはずだ。その想像が、心霊体験の「土台」を形成しているのではないかと思う。

孤立した立地と闇の深さ

大門ダムは市街地からほど近い場所にあるが、夜になると周囲の民家の明かりがほとんど届かない地形になっている。清里高原という高地の自然環境と、ダム湖の黒い水面が作り出す独特の圧迫感は、否応なく人間の原始的な恐怖を刺激する。怪異を「見る」条件が、物理的に整っているのだ。

八ヶ岳麓という土地の文脈

八ヶ岳の麓一帯は、縄文時代から人が多く住んでいた地域でもある。北杜市周辺は縄文遺跡の宝庫として知られており、古くから霊的なものと人間が近い場所であり続けた。大門ダムが建設される前の大門川沿いにどんな歴史があったかは、詳細な一次資料を見つけることができなかったが、長い時間軸の中で何らかの死の記憶がこの土地に積み重なっていたとしても不思議ではない。

「街灯の影」という視覚的トリック

黒い影の目撃談については、場所の構造から説明できる可能性が高い。コンクリートの堰堤や欄干の突起、街灯の光の角度が組み合わさると、特定の位置から見たときに人型の影ができやすい。夜間、疲れた状態でここを訪れれば、それを「人間」と誤認するパレイドリア(形のないものに意味を見出す心理現象)が発生しても何ら不思議ではない。

ただし、それだけで全部説明できるかどうかは、私にはわからない。

私の解釈と仮説

私は心霊の存在を肯定も否定もしない立場で、この仕事を14年やってきている。大門ダムについても同様だ。

今回の訪問で私が直接体験した怪異はなかった。それが「何もいない証明」にはならないし、逆に「何かがいる証明」にもならない。あの夜のカブの不調が寒さのせいなのか、それ以外の何かなのかも、私には判断できない(正直に言えば、寒さだとほぼ確信しているが)。

ただ、一つ思うことがある。

大門ダムという場所は「完成までに20年かかった、173億円の治水工事」という側面を持つ。それは言い換えれば、それだけの時間と費用をかけなければ抑えられなかった、この土地の水の力の凄まじさの証明でもある。明治・昭和と繰り返された水害で、どれだけの人が犠牲になったか、命を落としたか。大門ダムはその歴史の上に立っている。

「人魂」は水辺に出やすい。昔から民俗学的にもそう語られてきた。水辺と霊の親和性というのは、古代から人間が感じ続けてきた何かがあるのかもしれない。

私が見なかったものを見た人が、嘘をついているとは思わない。


注意事項

  • 夜間は人気がなく足元が暗い。転落事故に厳重注意

  • ダム管理施設は立入禁止。柵の内側には絶対に入らないこと

  • 欄干は低い。特に暗闇の中では危険

  • 周辺は野生動物も出没する

  • 深夜の訪問は地元住民への迷惑にならないよう配慮すること

山梨県心霊スポット『大門ダム』後編  #オカルト #恐怖 #心霊スポット
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まとめ

八ヶ岳を望む清里の地に静かに佇む大門ダム。昼は観光スポット、夜は怪異の舞台という二面性を持つこの場所は、心霊スポットとしての「格」は十分だと感じる。

特筆すべきは、怪異の種類が豊富な点だ。黒い影・人魂・女性の霊・異世界感……単一の噂が一人歩きするのではなく、複数の怪異が独立して語られているのは、それだけ多くの人が何らかの「体験」をしてきた場所であることの傍証かもしれない。

私が見なかったからといって、何もないとは言えない。次に訪れるのは、また別の季節にしようと思っている。できれば冬の夜明け前、雪が積もった頃に。

清里湖の底に何が眠っているのかは
誰にも、わからない。

参考文献・情報源

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