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2026-06

怪談

もうひとり

この話は、友人から聞いたものだ。そいつは夜の長距離ドライブが好きで、用がなくても車で遠くまで流しに行く。誰ともすれ違わない道を走るのがいいのだと、よく言っていた。ある晩も地方の国道をひとりで走っていた。山あいの灯りのほとんどない区間だったと...
怪談

七階

取り壊しの決まった古い公団があると聞いて、撮りに行った。現場は千葉市内の郊外で、駅からはだいぶ離れている。カブで一時間ほど走って、田畑の残る一帯に出た。その奥に五棟ほどの古い建物がまとまって建っている。どれも十一階建ての、外廊下タイプだ。住...
怪談

同じ角

知人から相談を受けたのは、梅雨が明けるか明けないかの頃だった。勤め先が変わって半年ほどになる男だ。新しい職場まで、毎朝二十分ほど歩いて通っている。住宅地のあいだを抜けて川沿いに出て、橋を渡る。ずっとおなじ道だ。その道にどうしても足の止まる角...
怪談

留守番電話

私の家には固定電話がある。契約まわりや役所からの連絡くらいにしか使わない代物で、普段はほとんど棚の置き物に近い。心霊スポットを巡って撮りためた映像を、夜通し編集する暮らしを長く続けている。だから世間の眠る時間に起きていることには、とうに慣れ...
怪談

駐車場

眠れない夜には、近所をあてもなく歩くことにしている。撮影で見聞きしたものを家へ持ち帰りたくない晩がある。ただ寝つけないだけの晩もある。ひと気のない住宅街をゆっくり歩いていると、強ばっていた気持ちがほどけていく。そういう夜歩きを、私はもう何年...
怪談

信号

眠れない夜には、近所を少しだけ歩くことにしている。頭の芯が妙に冴えて寝つけない晩がある。そんな夜はひと気のない住宅街をあてもなく歩きまわるうちに、強ばっていた気持ちがゆっくりとほどけていく。そういう夜歩きの習慣を、私はもう何年も続けてきた。...
怪談

心霊スポットの撮影から戻る深夜、私はカブを庭に止めると、頭を冷やしにそのまま近所をひと回り歩くことにしている。廃屋や山道で何時間も過ごしたあとは、体の芯に夜の冷たさが残ったまま、すぐには眠気がやってこない。ひと気のない住宅街をあてもなく歩く...
怪談

夜のバス停

心霊スポットの撮影から戻る深夜、私はカブを庭に止めると、頭を冷やしにそのまま近所をひと回り歩くことにしている。廃屋や山道で過ごした暗い時間のあとに、ひと気のない住宅街をゆっくり歩くと、強ばった背中がふっとゆるむ。撮影で見聞きしたものを、すぐ...
怪談

砂場

心霊スポットの撮影から戻る深夜、私はよく住宅街の小さな児童公園を通り抜ける。カブを止めた月ぎめの駐車場から家までは、この公園をひとつ斜めに突っ切るのが昔からの近道だった。夜どおし山あいの廃屋でカメラを回した帰りは、体も頭もくたびれて一刻も早...
怪談

歩数

眠れない夜には、近所を少しだけ歩くことにしている。心霊スポットを巡って深夜に帰り着いても、頭の芯はしばらく冴えたまま眠気がやってこない。その晩も明け方近くまで山あいの廃集落でカメラを回してきた帰りだった。冷えきった体と鎮まらない頭を持てあま...