旧三津坂隧道

静岡県

1. 導入

皆さんこんにちは、奇怪千万です。
今回は静岡県沼津市、旧三津坂隧道へ行ってきました。
名前は地味ですが、これがなかなかすごい物件でして。
なんと、現存する伊豆最古のトンネルなんです。
完成は明治29年。
百年以上前の石造りの隧道が、今もそのまま残っている。
心霊スポットとして名前が挙がる一方で、土木遺産としても価値の高い場所です。
ちなみに今回、千葉からカブで日帰りという、われながら無茶な行程で行きました。
着いたら夕方で、まだ明るかったのはそのせいです。
正直に白状しておきます。

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2. 史料を読む

まずは真面目な話から。
旧三津坂隧道は、明治29年、西暦でいうと1896年に完成しました。
19世紀末です。
沼津市の内浦三津と、伊豆の国市の伊豆長岡のあたりを結ぶために掘られました。
正式には長瀬隧道とも呼ばれるそうです。
作ったのは石工の瀬川弥右衛門という人物で、石を巻くように積む工法で築かれています。
全長はおよそ170メートル、幅は3.6メートルほど。
よく「伊豆最古のトンネルは天城だ」と言われますが、あの旧天城隧道は明治38年。
こちらのほうが、さらに古いんです。
井上靖の小説『しろばんば』にも登場する、由緒ある隧道です。
今は新しいトンネルに役目をゆずって、地元の有志の手で大切に整備されています。
ただし内部は危険なため、立ち入りは制限されています。

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3. 噂が育つ土壌

では、なぜここが心霊スポット扱いされるのか。
条件は揃っています。
まず、見るからに古い。
明治の石組みは苔むして、独特の重みがあります。
一度は荒れ果てて、廃道のようになっていた時期もある。
暗くて、湿っていて、ひんやりしている。
そして、ここはトンネルになる前から人が歩いた古道です。
昔の旅人が、坂を越えてこの道を行き来していました。
長い時間、たくさんの人が通った道というのは、それだけで物語を背負います。
古い、暗い、人の往来の記憶がある。
怪談を載せる下地としては、文句のつけようがありません。

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4. 現地調査

というわけで現地です。
さっきも書いたとおり、千葉からカブでの日帰り強行軍。
あちこち寄り道していたら、到着はもう夕方の16時でした。
心霊スポットなのに、まだ普通に明るい。
おかげで、というべきか、まず目を奪われたのは石組みの美しさでした。
苔に覆われた坑口、丁寧に積まれた石、整備された看板。
怖いというより、見とれてしまう。
中をのぞくと、思ったより短くて、向こうの出口が見えました。
ただ、明るいうちでも坑内はひんやりと湿っていて、空気が一段沈んでいる。
立入は制限されているので、私は坑口から先には進んでいません。
本当は夜に、機材を据えてじっくりやりたい場所でした。
これは正直、再訪したい。
明るい時間に帰ることになったのが、唯一の心残りです。

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5. 語られている怪異

語られている怪異を整理します。
よく言われるのが、古い時代の霊が出る、というもの。
江戸時代の霊、なんて言い方をされることもあります。
ほかには、坑内で物音がする、誰かに見られている気がする、坑口に人影が立っていた、といった話。
ただ正直なところ、固有の事件にひもづいた強い体験談は、あまり見当たりません。
古いトンネルにつきものの、定番の噂が中心です。
裏を返せば、トンネルそのものの存在感だけで、これだけ語られているということです。

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6. 噂の出どころを追う

出どころを考えます。
最大の要因は、やっぱり「伊豆最古」という肩書きでしょう。
百年以上前の、明治の石造隧道。
それだけで、人は何かいわくを期待します。
江戸時代の霊、という言い回しも面白い。
トンネル自体は明治のものなので、厳密には時代が合いません。
でもここは、もっと古い時代から続く古道の上にある。
だから「昔の人の霊」というイメージが、トンネルに引き寄せられたんだと思います。
苔むした石組みの異様な美しさも、想像をかき立てます。
具体的な事件ではなく、時間の厚みそのものが噂を生んでいる。
そういう種類の心霊スポットだと、私は見ています。

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7. 総合分析

まとめます。
旧三津坂隧道は、心霊スポットというより、土木と文学の遺産でした。
怖さよりも先に、時間の重みに圧倒される場所です。
明治の石工が積んだ石が、百年以上崩れずに残っている。
小説にも描かれ、地元の人が守り続けている。
そういう背景を知ると、安易に肝試しの場と呼ぶのがためらわれます。
霊がいるかどうかは、例によって分かりません。
しかも今回は明るい時間に着いてしまったので、夜の顔は見られていない。
ただ、明るくてもこれだけ惹きつけられたんです。
夜にここの坑口に立ったら、きっと別の何かを感じる気がします。
だからこそ、また来たい。
そう思わせる、力のあるトンネルでした。

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8. 注意とアクセス

現実的な注意です。
旧三津坂隧道は、内部が危険なため立ち入りが制限されています。
落石や崩落の恐れがあるので、坑内に無理に入らないこと。
ここは地元の有志が手間をかけて整備してくれた、貴重な史跡でもあります。
石組みや看板を傷つけず、敬意をもって見学してください。
古道を歩く場合は、足元と周辺の車の通行に注意を。
夜間は街灯がほとんどなく、坂道で危険です。
ゴミは必ず持ち帰り、撮影は周囲に配慮を。
場所は静岡県沼津市内浦三津。
車も電車も使わない私は、もちろん千葉からカブで向かいました。
日帰りは、正直おすすめしません。

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9. 引用・参考

旧三津坂随道 ぬまづの宝100選 沼津市 city.numazu.shizuoka.jp/takara100/category/rekishi/037.htm
旧三津坂隧道は現存する伊豆最古のトンネル 旭広告社沼津営業所ブログ asahi-ad-numazu.jp
三津坂古道(旧三津坂隧道) ウワサの心霊話 sinreikousatu.jp(明治29年完成・全長約170m・巻石工法と記載)
旧三津坂隧道 全国心霊マップ ghostmap.jp/spotdetail.php?spotcd=5155

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