神奈川県平塚市の郊外に、かつて食肉加工場だった土地がある。
平塚市食肉センターと呼ばれた施設で、跡地には検査所の建物が一棟だけ残されている。
田園風景の中に取り残されたその建物と、隣接する供養塔の一角が、心霊スポットとして語られてきた。
今回は現地を訪れ、この場所に残る噂の正体を確かめてきた。
施設の歴史




平塚市食肉センターは、1960年代半ばに開設された食肉加工場だったとされる。
二階建てと平屋建ての建物で構成され、牛や豚の解体処理が行われていた。
その後、業務の統合により2002年に閉鎖されたと伝えられている。
閉鎖後もしばらくは、加工機器やコンベアが残されたまま放置されていたという。
現在は跡地の大部分が公園として整備され、食肉衛生検査所の建物一棟と慰霊の一角だけが残る。
敷地の近くには畜霊供養塔がある。
「大地」「豚」と名付けられた石碑が置かれ、家畜の像も設置されている。
碑には、多くの家畜の犠牲に感謝を捧げる旨の言葉が刻まれているという。
供養塔は創業20周年を記念して改修されたと案内されており、地元では今も慰霊が続けられているようだ。
現地調査




私が現地に到着したのは深夜だった。
周囲は田園地帯で、街灯もまばらな一本道が続いている。
残された検査所の建物は、出入口や窓が板で厳重に塞がれていた。
市の管理下にあるため、内部への立ち入りはできない。
私も外周からの観察に留めた。
建物の外壁は経年で汚れ、闇の中に白っぽく浮かび上がって見えた。
かつてここで大量の家畜が処理されていたと思うと、独特の空気を感じる。
ただし、それが霊的なものかと問われれば、答えは慎重にならざるを得ない。
この場所の現地調査動画を見る神奈川県心霊スポット『食肉衛生検査所』 #心霊スポット
供養塔の一角にも足を運んだ。
石碑と家畜の像が静かに並び、荒れた様子はなかった。
むしろ手入れの跡があり、この土地が今も供養の対象であることが分かる。
語られる噂




この場所については、いくつかの噂が語られている。
最も有名なのは、四つん這いの女性に追いかけられるというものだ。
夜間に跡地を訪れた者が体験したとされ、この場所の代名詞のように扱われている。
次いで多いのが、動物の霊に関する話だ。
処理された家畜の霊に追いかけられる、車の窓に動物の影が映るといった内容が語られる。
供養塔の近くで人影を見たが、近づくと誰もいなかったという体験談もある。
噂の起源についての考察
これらの噂の背景には、屠畜という営みへの心理的な距離感があると私は考えている。
食肉処理は社会に不可欠な仕事だが、日常から見えにくい場所で行われてきた。
その「見えなさ」が、跡地に対する想像を膨らませる土壌になったのではないか。
四つん這いの女性という噂は、この種の施設跡でしばしば語られる定型に近い。
動物の霊の話も、屠畜場という場所の性質から自然に発生した連想と見ることができる。
一方で、供養塔の存在は重要だ。
ここでは家畜への感謝と慰霊が、施設の稼働当時から途切れず続けられてきた。
供養が不十分だから霊が出る、という語りは、現地の実態とは合致しない。
むしろこの土地は、命への敬意が形として残されている場所だと感じた。
アクセス情報
所在地は神奈川県平塚市寺田縄付近。
跡地の大部分は公園として整備されている。
残された検査所の建物は市の管理下にあり、内部への立ち入りは禁止されている。
無断侵入は犯罪となるため、絶対にやめてほしい。
訪れる場合は公道や公園の範囲に留め、近隣住民への配慮を忘れないでほしい。
供養塔は慰霊の場である。
興味本位で騒ぐ場所ではないことを、最後に強調しておきたい。


