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鳥取連続不審死事件――「西の毒婦」と呼ばれた女、6つの死とひとつの死刑確定

「鳥取連続不審死事件」という呼び名から、六つの殺人が一度に裁かれたと思われがちだ。実際に強盗殺人として起訴され、有罪が確定したのは二人の男性の死亡についてである。周辺で確認された別の死まで同じ事件として断定すると、捜査と裁判が引いた線を越えてしまう。

詐欺事件から始まった捜査

2009年11月2日、鳥取県警は当時36歳の女性を詐欺容疑で逮捕した。交友関係や金銭の流れを調べるうちに、女性と関わりのあった複数の男性が亡くなっていたことが注目され、過去の死亡事案が再検討された。

当時、報道でまとめて語られたのは六件だった。しかし、捜査では記者と警察官の死は自殺、警備員の死は事故、もう一件は病死と整理された。刑事裁判の対象になったのは、2009年4月に亡くなったトラック運転手と、同年10月に亡くなった電器店経営者の二人である。「周囲の六人を殺した」という言い方は確定判決の内容ではない。

二件を結びつけた状況証拠

検察は、被告が二人に睡眠導入剤を摂取させ、意識がはっきりしない状態で水辺へ連れて行き、金品を得る目的で溺死させたと主張した。法廷では、被害者との金銭トラブル、体内から検出された薬の成分、死亡直前の通信記録や目撃証言などが検討された。

犯行そのものを記録した映像や目撃、自白といった直接証拠はなかった。被告は強盗殺人二件を一貫して否認し、弁護側は同居していた別の男性が関わった可能性や、検察が示した経過の実現性を争った。裁判所は個々の状況証拠をつなぎ合わせ、偶然や別人の犯行では合理的に説明できないと判断した。

この事件の重要な点は、刺激的な「連続不審死」という響きではなく、間接証拠だけで犯人性と死刑を認定できるかが慎重に争われたことにある。

死刑確定までの長い審理

鳥取地方裁判所の裁判員裁判は2012年9月に始まり、同年12月4日、二件の強盗殺人について死刑判決を言い渡した。被告側は控訴したが、広島高等裁判所松江支部は2014年3月20日に棄却。最高裁判所も2017年7月27日に上告を棄却し、同年8月、死刑判決が確定した。

被告は無罪主張を変えなかった。確定判決があることと、被告が最後まで争ったことは、どちらも記録しておく必要がある。ネット上には判決を疑う考察も残るが、それは裁判所の認定とは別の意見であり、新事実として扱うことはできない。

死刑は執行されなかった。被告は2023年1月、広島拘置所で食事を喉に詰まらせ、49歳で死亡したとされる。刑の執行で亡くなったという情報は事実と異なる。

「毒婦」という見出しの外側

同時期に発覚した首都圏の事件と並べ、報道は被告を「西の毒婦」などと呼んだ。暮らしぶり、外見、家族関係までが物語の材料にされ、実名報道と匿名報道の方針も媒体によって揺れた。だが、性別を強調する呼び名や私生活の品評は、二人の男性が命を奪われた事実や、間接証拠をどう評価したかという裁判の核心を説明しない。

亡くなった男性たちには、それぞれの生活と遺族があった。六件を一つの怪談のようにまとめず、起訴された二件と、それ以外の死を区別すること。被告の人物像を面白がらず、確定した司法判断と未確認の推測を混ぜないこと。その二つを守れば、事件の輪郭はセンセーショナルな見出しよりずっと正確に見えてくる。

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