カクヨム掲載「心霊体験談短編集」の導入記事です。実話・体験談・聞き書きをもとに、読み物として脚色を加えた怪談として扱い、全文転載はせず冒頭のみ掲載しています。
この話について
これは15年以上前、僕と当時付き合っていた彼女が体験した話です。 場所は東京練馬区にある某巨大団地。 名前は出せませんが、地元ではかなり有名な団地で、同じような建物が何棟も並んでいます。 彼女の実家が、その中の一棟にありました。 建物は14階建て。 古い公団住宅で、外廊下タイプ。 夜になると、どの棟も似た形なので、初め…
冒頭抜粋
これは15年以上前、僕と当時付き合っていた彼女が体験した話です。
場所は東京練馬区にある某巨大団地。
名前は出せませんが、地元ではかなり有名な団地で、同じような建物が何棟も並んでいます。

彼女の実家が、その中の一棟にありました。
建物は14階建て。
古い公団住宅で、外廊下タイプ。
夜になると、どの棟も似た形なので、初めて来る人はほぼ確実に迷う。
ただ、その棟で一番印象に残るのがエレベーターでした。

かなり古い型のエレベーターで、
動くときに
ゴウン……
という重い音がする。

中の蛍光灯も少し暗くて、
天井の換気扇がカラカラ回っている。
そして、妙に気になったのが
階数ボタンの擦れ方でした。
全部古いんですが、特に

13階と14階のボタンだけ、やけに削れている。
僕がそれを見て
「ここ、よく押されるんだね」

と言うと、彼女は軽く笑って
「だって14階まで階段なんて無理でしょ」
と言いました。

確かにそうだと思って、
そのときはそれ以上気にしませんでした。
その日、僕は彼女の家に遊びに行っていました。
夜ご飯もいただいて、
彼女の母親とも少し話をして。

気づけば時間は夜11時過ぎ。
終電もあるので、
そろそろ帰ることにしました。
彼女が
「下まで送るよ」

と言ったので、二人で家を出ました。
夜の団地は、昼間と全然雰囲気が違います。
廊下は静かで、
遠くで誰かがドアを閉める音だけが響く。

14階の廊下は特に静かでした。
住んでいる人が少ないのか、
人の気配がほとんどない。
僕たちはエレベーターの前に立ちました。

彼女が下向き…
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