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易占いの立て方、六十四卦をどう出してどう読み解くのかの実践

易占いは、東洋思想の根幹をなす「易経」を土台にした卜術であり、人類最古の占術のひとつに数えられる。筮竹やコイン、あるいはサイコロを用いて記号を立てる。「卦(け)」と呼ばれる六本の線からなる記号だ。そして六十四通りある卦の意味を読み解くことだ。目の前の問いに対する天の答えを受け取る――それが易占いの基本構造である。

単なる吉凶占いにとどまらず、変化そのものを哲学として捉える思想書としての側面も持ち合わせている。そのため、経営者や識者にも長く愛読されてきた。

易経の歴史・起源 ― 伏羲から周文王、孔子まで

易経の起源は、中国神話の時代にまで遡る。伝説によれば、古代の聖王とされる伏羲(ふっき)が天地の陰陽の理を観察する。陽を表す一本の実線(陽爭)と陰を表す途切れた線(陰爭)を組み合わせて「八卦」を考案したとされる。乾(天)・兌(沢)・離(火)・震(雷)がある。さらに巽(風)・坎(水)・良(山)・坤(地)がある。

この八つの基本図象がこれにあたる。

自然界のあらゆる現象をこの八要素の組み合わせで説明しようとしたのが易の出発点というわけだ。その後、殷から周への王朝交代期にあたる紀元前十一世紀頃のことだ。周の文王(ぶんおう)は殷の紗王によって羽里(ゆうり)の地に幽閉されていた。その際に八卦を二つずつ重ねて六十四卦に発展させた。それぞれに「卦辞(かじ)」と呼ばれる全体的な意味づけの文章を付したという伝承が残っている。

さらに文王の子である周公旦もいる。卦を構成する六本の爵それぞれに個別の解説文を加えたとされる。これが「爵辞(こうじ)」だ。ここに六十四卦・卦辞・爵辞からなる易の骨格が完成した。時代が下って春秋時代末期、孔子とその弟子たちがこの占いの書に哲学的な注釈を加える。

「十翼(じゅうよく)」と呼ばれる易伝をまとめたことだ。

易は単なる占いの道具から、陰陽の変化を通じて宇宙と人生の理法を説く思想書「易経」へと昇華した。日本への伝来は飛鳥時代から奈良時代にかけてとされ、億教や陰陽道とともに大陸から渡来した。平安時代には陰陽師たちが易の理論を吸収し、江戸時代には儒学者たちの間で易経研究が盛んになったのだ。

明治期には高島嘉右衛門(たかしまかえもん)がいる。実業家であり易断いの大家としても知られた。易断による予知能力で数々の逸話を残す。「高島易断」の名は今なお毎年のカレンダーや暦本にその名を残すほど広く知られている。

実際の卦の立て方 ― 筮竹・コイン・サイコロ

易占いの最大の魅力は、誰でも今日から実際に卦を立てて占うことができる実践性の高さにある。伝統的な方法から現代の簡易的な方法まで、いくつかのやり方を紹介する。まず最も本格的なのが「本筮法(ほんぜいほう)」で、五十本の筮竹(ぜいちく)を用いる。一本を除いた四十九本を両手に分ける。複雑な数取りの手順を何度も繰り返して一本の爺を導き出す。

これを六回繰り返して一つの卦を完成させる。

非常に手間と時間がかかる。そのため現代の実占ではもっぱら手順を簡略化した方法が主流になっている。「略筮法(りゃくぜいほう)」だ。略筮法でも筮竹を使うことに変わりはないが、数取りの回数を減らして一回の占いにかかる時間を大幅に短縮している。初心者にとって最も取り組みやすいのが「コインを使った易占い」というわけだ。

やり方は次の通りだ。

まず同じ硬貨を三枚用意する。表と裏にそれぞれ陽と陰の意味を割り当てる(一般には表を陽、裏を陰とすることが多い)。占いたい内容を心の中で強く思い浮かべながら、三枚のコインを同時に投げる。出た表裏の組み合わせによって判定する。「老陽(表が三枚)」「少陰(表二枚・裏一枚)」のいずれかだ。

あるいは「少陽(表一枚・裏二枚)」「老陰(裏が三枚)」のいずれかになる。これを一つの爬とする。

この動作を計六回繰り返し、最初に出た爬を一番下(初爬)、最後に出た爬を一番上(上爬)として積み上げていくことだ。六本の爬からなる一つの卦が完成する。老陽や老陰といった「変爬(へんこう)」が出た場合もある。その爬の陰陽が反転した別の卦も併せて読むことだ。これを「之卦(しか)」と呼ぶ。

物事の変化の方向性まで読み取ることができる。

もっと手軽な方法もある。六枚のコインを一度にまとめて振り、上から順に六段に積んで内卦・外卦を構成する。この簡易法も広く用いられている。このほか、さいころを使って卦を出す方法も存在する。忙しい現代人でも数分あれば占いを完了できるようになっている。

六十四卦の読み方 ― 卦辞・爵辞をどう読み解くか

卦が立ったら、次はその意味を読み解く段階に入る。六十四卦は、下から三本の爬でできる「内卦」と、上から三本の爬でできる「外卦」の組み合わせによって構成される。それぞれの組み合わせに固有の名前と意味が与えられている。例えば六本すべてが陽爭の卦は「乾為天(けんいてん)」と呼ばれる。天のごとく強い創造力と力強さを象徴する。

最高の卦のひとつとされる。

逆に六本すべてが陰爭の卦は「坤為地(こんいち)」と呼ばれ、大地のような柔軟性と受容力を象徴する。物事の始まりの困難さを示す「水雷屯(すいらいちゅん)」がある。争いを戒める「天水訟(てんすいしょう)」もある。六十四卦それぞれに固有の物語性豊かな意味づけがなされている。実際の読み方の手順としては、まず卦全体を表す「卦辞」を読み、大まかな吉凶の方向性をつかむ。

次に、六回の占筮の中で老陽・老陰といった変爬が出ていた場合は、その爬に対応する個別の「爵辞」を確認する。より具体的な状況やアドバイスを読み取る。さらに変爬があった場合は、その爬が反転した後の「之卦」も確認することだ。現在の状況(本卦)から今後どのように変化していくのか(之卦)を見る。この時間軸を含めた読み方ができる。

そこが易占いの奥深さである。

爵辞は文語調で書かれており独特の比喩表現も多い。そのため、初心者は現代語訳付きの解説書を手元に置いて照らし合わせながら読み進めるのが実践的だ。

流派の違い ― 周易・断易・梅花易数

易占いには複数の流派が存在する。孔子の易伝の流れを汲む伝統的なスタイルがある。哲学的・道徳的な意味づけを重視し、卦全体のメッセージを読み解く。これは「周易(しゅうえき)」と呼ばれる。一方、卦の各爬に十二支・五行・六親(父母・兄弟・子孫・妻財・官鬼)といった要素を配当する。

より具体的で実務的な吉凶判断に特化させた技法もある。例えば「この商談は成立するか」「この病気は治るか」といった個別具体的な問いだ。これは「断易(だんえき)」あるいは「納甲六爺法」と呼ばれる。実占重視の占い師の間で広く支持されている。

さらに「梅花易数(ばいかえきすう)」もある。北宋の学者・邵雍(しょうよう)が創始したと伝わる。日時や数字、目にした事象の特徴などから即座に卦を導き出す極めて簡易な占術だ。筮竹もコインも使わずに日常のあらゆる場面で占いができる点が特徴だ。これらの流派はいずれも六十四卦という共通の土台を用いながら、読み解き方や重視するポイントが大きく異なっている。

体験談・的中エピソード

経営コンサルタントとして独立したDさんは、新規事業への投資判断に迷った。易占いで卦を立てたところ「時期尚早」を示す卦が出た。そのためDさんは計画を半年延期したのだ。結果的にその半年の間に市場環境が大きく変化する。当初の計画のままでは大きな損失を出していた可能性が高いことが後に判明する。

「あのとき易の警告に従って正解だった」と振り返っている。

また、就職活動中の学生Eさんは、複数の内定先のどちらを選ぶべきか迷った。易占いのアプリでコイン式の卦を立ててみた。すると変化と成長を示す卦が出たのだ。直感的にしっくりこなかった方の会社を選んだ。すると想像以上にやりがいのある仕事に恵まれた。

Eさんは「易の答えが後押しになって決断できた」と話している。

さらに、長年不妚治療を続けていた三十代女性Fさんがいる。藁にもすがる思いで易占いの専門家に鑑定を依頼した。すると近い未来の好転を示す卦が出たという。その数ヶ月後に姊娠が判明する。「単なる偶然かもしれないが、あの時の易の言葉が心の支えになったのは間違いない」と語っている。

易占いの体験談には、的中そのものよりも「決断の後押し」としての効用を語るものが多いのが特徴的だ。

現代における易占いの使われ方

易経は単なる占いの書にとどまらず、東洋思想・帝王学の古典としても長く読まれ続けてきた。著名な経営者が経営判断の指針として易経を愛読していることは広く知られている。変化の理を説くその思想は現代のビジネス書でもたびたび引用される。近年ではスマートフォンアプリで手軽にコイン式の易占いができるようになる。若い世代の間でも「今日の一言」的な感覚で気軽に卦を立てる文化が広がっている。

YouTubeやSNSでは易経の解説動画も多く投稿される。タロットや西洋占星術と組み合わせた複合鑑定サービスの一環として易占いを提供する占い師も増えている。

初心者向けの実践的なコツ・注意点

易占いを実践する上でまず心得ておいてほしいのは、「一つの問いに対して一度だけ占う」という原則である。易には古くから「再筮不敬(さいぜいふけい)」という考え方がある。すなわち同じ問いを何度も占うのは天に対して不誠実であるということだ。気に入らない答えが出たからといって何度も占い直すことは避けるべきとされる。また、質問は「はい・いいえ」で答えられるような単純な二択ではない。

具体的な状況を思い浮かべながら焦点を絞って問いかけることで、より的確な卦が得られやすくなる。卦辞や爵辞の文言は難解に感じられることも多いが、現代語訳の解説書やアプリの解説機能を積極的に活用する。繰り返し実践することで徐々に読み解く感覚が身についていく。

易占いは伏羲の八卦にはじまる。周文王・周公旦・孔子という歴代の聖賢の手を経て、六十四卦・卦辞・爵辞として結晶化した。東洋思想と占術が融合した稀有な体系というわけだ。筮竹の本筮法から現代のコイン式・サイコロ式まで、立て方の手軽さは時代とともに進化してきた。それでも卦全体を読み、変爬から之卦を導いて変化の方向性まで見通す。

この読み解きの本質は変わっていない。

まずはコイン三枚を用意する。一つの明確な問いを胸に、実際に卦を立ててみることから易の世界への扉が開かれる。

本文中で触れた断易についてさらに実占レベルまで踏み込んでみる。断易は単に卦を出して卦辞を読むだけの周易とは根本的に手順が異なる。まず占う内容を一つに絞り込み、占う日の干支暦(十干十二支)を確認する。そのうえでサイコロかコイン三枚を六回投げて卦を立てる。ここまでは他の易占いと同様だ。

ただ、断易ではその六本の爻それぞれに十二支と六親を配当していく。父母・兄弟・子孫・妻財・官鬼のことだ。この「納甲」という作業が加わる。

次に、占いたいテーマに対応する爻を「用神」として選び出す。たとえば自分自身の運勢そのものを占うなら世爻(せいこう)を見る。恋愛や結婚の相手を占うなら応爻(おうこう)、金運や妻の運を占うなら妻財だ。このようにテーマごとに見るべき爻が変わる。

用神を定めたら、それが占った月・日の干支(月建・日辰)との関係でどれだけ勢いを持っているかを見る。すなわち「旺相(強い)」なのか「休囚死(弱い)」なのかを判定する。判定は五行の生剋(木は火を生じ、火は土を生じる……という循環)に照らして行う。さらに十二支同士が引き合う「支合」や、ぶつかり合う「冲」の関係も加味する。そして最終的な吉凶と、事が実現する時期(応期)までを読み解く。

この緻密さゆえに断易は「当たる占い」として実占派の占い師から絶大な支持を得ている。恋愛の成否や商談の可否といった具体的な二択の問いに強いとされる。もう一つの代表的な流派である梅花心易は、対照的に極めてシンプルな起卦法を特徴とする。

創始者とされる北宋の邵雍(邵康節)には「梅花偶感」の逸話が伝えられている。庭先の梅の枝に二羽の雀が争っているのを見て即興で卦を立てた。翌日その枝が折れて雀が落ちることまで言い当てたという。これが流派名の由来になったという説がある。梅花心易では、身の回りのあらゆる事象を数値化して八卦に変換する。

目にした物の数、聞こえた音の数、あるいはその瞬間の年月日時の数字といったものだ。

上下二つの卦(体卦・用卦)を組み合わせて瞬時に占う。体卦は自分自身や物事の本体、用卦は相手や外部からの影響を表し、両者の五行の生剋関係から吉凶を読む。筮竹もコインも要らず、まさに「今この瞬間」を占える点が現代人にも支持される理由だ。明治の実業家・高島嘉右衛門にまつわる逸話はさらに多く語り継がれている。

高島は横浜の埋立事業や鉄道建設など数々の大事業を手がけた。事業の岐路に立つたびに自ら易を立てて経営判断を下したとされる。西南戦争の勃発や日露戦争における日本の勝利まで易断によって的中させたという伝説的な逸話が複数残っている。獄中生活の中で易経を独学したという経歴も相まっている。「高島易断」の名は没後百年以上を経た今もカレンダーや暦本の定番ブランドとして流通し続けている。

体験談としては、易占いをタロットと併用する現代の占い師のケースも興味深い。あるカードリーダーは、二段構えの鑑定スタイルを確立する。タロットで大まかな流れをつかんだ後、より深く踏み込みたい問いに対して易占いのコインを振る。「タロットが感情や心理を映すのに対し、易は物事の構造そのものを教えてくれる」と語っている。

また、YouTube上では易経の六十四卦を一卦ずつ数分で解説するチャンネルが人気を集めている。コメント欄には「仕事の判断に迷ったときに動画を見返している」という声がある。「難解だと思っていたが現代語訳のおかげで理解できた」といった声も多数寄せられている。SNSでは「今日の卦」といったハッシュタグで日替わりの卦を紹介する投稿も一定数見られる。

若年層のあいだで易経が新しい形で再発見されつつある状況がうかがえる。占い師の間では、易占いと四柱推命・タロットを組み合わせた複合鑑定サービスも近年増えている。四柱推命は生年月日から生涯の運勢の傾向、いわば持って生まれた土台を読む。これに対し易占いはその都度その都度の「今この瞬間の問い」に答える。両者は役割が異なる。

両者を組み合わせることで長期的な運勢の流れと短期的な決断の両方をカバーできると考える占い師は多い。実占の場では、まず四柱推命で相談者の性格や人生の傾向を大まかに把握する。そのうえで当面の具体的な悩みについては易占いで卦を立てて助言する。この二段構えの鑑定スタイルが定番になりつつある。

また、易占い専用のスマートフォンアプリもある。GPS機能で取得した現在地の情報や、スマートフォンを振った際の加速度センサーの値を乱数として利用する。伝統的な筮竹と同じ確率的な公平性を再現しようとするものも登場している。テクノロジーと数千年前の占術が意外な形で融合している点も興味深い。

実践する際の注意点もある。卦が凶であっても悲観しすぎないことだ。爻辞に示されたアドバイスを行動指針として活かす姿勢が推奨される。易経の思想そのものが「陰極まれば陽に転じる」という変化の哲学を土台にしている。そのため、たとえ困難を示す卦が出ても、それは永遠に続くものではない。

次の変化へ向けた一過程として捉えるのが本来の易の精神だとされる。

ここまでは易経の歴史と読み解きの理論を中心に紹介してきた。実際にネット上の情報を横断的に調べてみる。個人ブログ・note・Yahoo!知恵袋・5ちゃんねる・SNS投稿などだ。すると単なる知識にとどまらない「実占の作法」がかなり具体的に語り継がれていることが分かる。以下では、それらの情報を集約し、実際に手を動かして卦を立てるための実践ガイドとしてまとめる。

信憑性そのものは各自の判断に委ねる。実際に「こうやっている」と語られている手順を、できる限り再現性の高い形で記録する。

①用意するもの

もっとも手軽な「コイン式」の場合、必要なのは同じ種類・同じ大きさの硬貨を三枚、あるいは六枚。5円玉・10円玉・100円玉のいずれでもよいとされる。ただし複数の解説ブログでは「10円玉6枚」を推奨するものが多い。理由として、六枚あれば一度に振って内卦・外卦を同時に構成できるため作業が速いことがある。また表裏の意匠が比較的判別しやすいことも理由とされている。

使用前に必ず「どちらの面を陽、どちらの面を陰とするか」を自分の中で固定する。以後は絶対に変更しないことが重要だと複数のサイトが強調している。一般的には、硬貨の年号や金額の数字が刻まれた面を陰、寺社や国名・図案側の面を陽とする割り当てが多い。ただしこれも「どちらを陽にするか」自体よりも、「決めたら変えない」ことの方が重要視されている。本格志向の場合は、伝統的な四点セットを揃える。

すなわち①筮竹(ぜいちく)50本、②算木(さんぎ、陰陽の印を記した正方形の木片一組)である。さらに③筮筒(ぜいとう、筮竹をまとめて立てておく筒)である。そして④掛肋器(けろくき、数え終えた筮竹を一時的に置いておく器)だ。これらは易学系の専門店やネット通販で「易占いセット」として一式販売されていることが多い。

加えて、専用の敷き布を机の上に敷き、その上で筮竹を扱うことを勧める解説が複数見られる。これは占い専用に一枚だけ用意し、他の用途に使い回さない布だ。ノートと筆記用具も必須だ。占的(占いたい内容)・出た卦・変爻の位置・之卦・後日の結果を記録しておく。すると後から自分なりの的中率や解釈の傾向を振り返ることができるという実践者の声も多い。

さらに略式として、8面体サイコロ2個と6面体サイコロ1個を使う方法も紹介されている。これはガラケー時代からの占いコラムニストであるスタパ齋藤氏がコラムで詳しく紹介している方法だ。氏は「天・沢・火・雷・風・水・山・地」の八卦がそのまま刻印された専用の8面ダイスを愛用している。「見ればすぐに卦名を導き出せて便利」と述べている。

Yahoo!知恵袋にも8面体の赤色・黒色のサイコロを使う占い方について長年の実践者からの質問が投稿されている。赤を上卦(外卦)、黒を下卦(内卦)とするか、その逆にするかで解釈が割れる場合があることが分かる。ベストアンサーでは「断易を習った際に、黒=外卦、赤=内卦という厳密なルールがあると指摘された」という証言がある。

結局は一つの考え方に落ち着いたと報告されている。「どちらが上か下かは自分で決めてよいが、一度決めたら絶対に変えてはいけない」という考え方だ。このほか、線香(白檀系の香りが好まれる傾向)、座布団、方位磁石を用意する実践者もいる。これは仏壇や神棚に線香をあげる際の作法を援用したものだ。易占い専用というよりは「場を整える」ための一般的な儀式的所作として取り入れられているようだ。

②行う日時・方角・回数

日本易学振興協会が公開している「易占の心得」には、占ってはいけないタイミングが明記されている。すなわち「飲酒後」「性行後」「イライラしている時」は避けるべきとされる。心が乱れた状態での占いは信頼できる卦を得られないと説明されている。逆に推奨される時間帯もある。多くの個人ブログが「静かで落ち着いた時間」を推している。

「早朝、あるいは夜、周囲が寝静まった後」という声も多い。

スマートフォンの通知を切り雑念を遮断した状態を作ることが繰り返し語られている。方角については、易占い専用として明確な決まりを掲げるサイトは少ない。ただし氣学や方位学との親和性から語られる説がある。「東向き、あるいは北向きに座って行う」という説がネット上ではしばしば紹介される。東は太陽が昇る方角として物事の始まりを象徴し、北は静けさと内省を象徴するとされる。

いずれも「心を鎮めて占いに向き合う」ための方角として語られている。方位磁石を用意する実践者は、この東向き・北向きを厳密に測るために使っているという。回数についてはもっとも重要な原則がある。「一つの問いに対して一度だけ占う」というルールだ。これは易学振興協会の解説にも書かれている。

「ある事柄を占う場合、筮するのは一度だけにする。再三すれば瀆る(けがれる)」と明記されている。

本文中で紹介した「再筮不敬」の考え方そのものというわけだ。気に入らない卦が出たからといって同じ問いを何度も占い直すことは、天への冒涜とみなされる。またそもそも「当たるかどうかを試す」ための占いや、すでに結果が判明している事柄を占うことも禁止されている。占的は抽象的な二択ではなく、できる限り具体的な状況を思い浮かべながら焦点を絞ることが推奨されている。

③唱える言葉

神道の祝詞のように定型化された「決まり文句」は易占いには存在しない、というのが調べた限りでの実情である。ただし、実践者の間で共通して語られる「型」はいくつか存在する。まず、伝統的な筮竹による本筮法・略筮法の作法を見る。動作に入る前に「筮竹に向かって深く一礼する」ことが手順として明記されている。

この一礼は、筮竹という道具そのものに対する敬意だ。同時に易における「太極」の考え方に基づくものだとされる。49本から抜き出して別に置く1本を、易神(占いを司る神格的な存在)の拠り所とする考え方だ。つまり、易を立てる行為そのものが、目に見えない易神に「お伺いを立てる」神事的な意味合いを帯びているわけだ。

この考え方をもとにした「唱える言葉の型」がある。複数の解説サイトや動画で紹介されている型だ。ざっくり言うと、おおむね次のような流れになる。

1、深呼吸を数回行い、「体の中の空気を入れ替えるようなイメージ」を持って心を鎮める。2、筮竹(またはコイン・サイコロ)に向かって一礼する。心の中、あるいは小声で「これより易占いをはじめます。正しき卦をお示しください」といった趣旨の言葉を唱える。3、占いたい内容を、できる限り具体的な言葉で声に出すか、あるいは強く念じる。

「〇〇について、進めるべきか否かをお示しください」のように述べる。はい・いいえで割り切れない状況を含めて具体的に述べるのがコツとされる。4、「無念夢想、寂然不動」――先入観や邪念を捨て、静かに動かぬ心で占うことを自分に言い聞かせる。これは易学振興協会の解説にも明記されている心構えだ。唱え言葉というよりは占者が保つべき精神状態を指す。

そうした言葉として繰り返し引用される。

5、卦を立て終えたら、最後に「ありがとうございました」という感謝の一礼で締めくくる。筮竹を用いた実占の解説では、最後の爻を得た後に「感謝の礼をする」という所作が明記されている。

定型の祝詞がない分、この一連の流れそのものが儀式的な骨格になっている。「一礼、問いを声に出す、無心で動作、感謝の一礼」が、易占いにおける「唱える言葉」に代わるものだ。

④動作・所作の詳細な流れ

コイン式(三枚・六回法)

1、静かな部屋を選び、スマートフォンの通知をオフにする。2、コイン三枚の陰陽の割り当てを決める(例は、数字面=陰、絵柄・国名面=陽)。3、一礼し、占いたい内容を具体的に声に出すか強く念じる。4、三枚のコインを両手で包み、心の中で問いを念じながら同時に投げる、あるいは手の中で振ってから静かに置く。5、出た表裏の組み合わせを判定する。

表が三枚なら「老陽」、裏が三枚なら「老陰」とする。表二枚・裏一枚なら「少陰」、表一枚・裏二枚なら「少陽」とする。これを一つの爻とする。6、この動作を計六回繰り返す。最初に出た爻を一番下(初爻)、最後に出た爻を一番上(上爻)とする。

そして下から上へ積み上げていく。7、老陽・老陰といった「変爻」が出た場合はその位置を記録する。後で陰陽を反転させた「之卦」を確認する材料とする。

8、六本の爻が積み上がったら卦が完成する。下三爻が内卦、上三爻が外卦となる。

コイン式(六枚同時法)上記の簡易版も広く紹介されている。六枚のコインを一度にまとめてシャッフルする。「ここ」と感じたタイミングで手を止め、コインを上から順に縦一列に積み重ねて配置する。積み重ねた六枚を下から初爻、上へ向かって上爻とする。下三枚が内卦、上三枚が外卦となる。

この点は三枚・六回法と同じというわけだ。

ある解説note記事では、感覚的な止め時の見極めが紹介されている。占いたいことを心に思い浮かべながら、両手でコイン六枚を上下に振ってシャッフルする。そして『ここ』と感じる時点で止めるという内容だ。理屈よりも直感を重視する流派の存在がうかがえる。筮竹式(略筮法・三変筮法)日本易学振興協会が公開している手順は次の通りである。

1、数回、深呼吸をして心身を整える。2、筮竹に向かって深く一礼する。3、筮竹50本を両手で持ち、占いたい内容を心の中で念じる。4、そのうち1本を筮筒に立てて置く(これが太極=易神の拠り所となる)。5、残り49本を握り、「内卦をとります」と声に出す。

6、49本を扇形に開く。7、左手で扇を持ち、息をゆっくり吐ききって呼吸を止めながら、右手で無心のうちに二つに割る。8、右手側の筮竹を掛肋器に置く(これを「地策」と呼ぶ)。9、掛肋器に置いた束から1本を取り出し、右手の薬指と小指の間に挟む(これを「人策」と呼ぶ)。10、残った筮竹を8本ずつ数えていき(八払い)、最後に残った本数(1―8)によって八卦の一つを決定する。

11、得られた卦を紙に記録する。12、同じ操作をもう一度繰り返し、今度は外卦を得る。13、続いて「爻をとります」と声に出し、49本を左右に分けて今度は6本ずつ数える(六払い)操作を行う。変爻の有無と位置を決定する。14、得られた爻の情報を記録する。

15、一連の操作が終わったら、筮竹に向かって感謝の一礼をする。

より簡略化した「中筮法」(6回操作)や、伝統的にもっとも厳格な「本筮法」(18回操作)も存在する。ただし現代の実占ではもっぱらこの略筮法が主流になっている。サイコロ式8面体サイコロ2個(内卦用・外卦用)を使う。これに6面体サイコロ1個(爻位・変爻判定用)を加える。この方法も広く実践されている。

8面体サイコロには乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤の八卦を割り当てておく。それぞれ1―8の目に対応させる。2個振ることで内卦と外卦を同時に決定する。残る6面体サイコロで変爻の有無を判定する。前述の通り、どちらの色(あるいはどちらのサイコロ)を内卦・外卦のいずれに割り当てるかは流派や個人差がある。

そのため、最初に決めたルールを一貫して守ることが肝要だとされる。

⑤後始末・処分方法

筮竹・算木は使い終えたら、専用の敷き布に包んでから箱にしまう。日常生活の雑多な物と一緒に置かないようにする。こうした扱いが複数の解説で共通して見られる。人が頻繁に出入りする場所や、床に直接置くことは避け、なるべく高い場所、あるいは専用の棚に安置するという声もある。

コインについても、占いに使ったものを日常の買い物などに使い回さない。占い専用として財布とは別の袋や箱に分けて保管する。そうした実践者が多い。

長期間使わなくなった道具、あるいは寿命を迎えたと感じた道具の処分作法もある。明確な「易占い専用の処分作法」を掲げるサイトは見当たらなかった。ただし日本国内でお守りや縁起物を処分する際の一般的な慣習に準じて扱う実践者が多いようだ。すなわち、購入した神社仏閣や、専門の「お焚き上げ」を受け付けている神社に納めて焚き上げてもらう。あるいは白い紙に包んで塩で清めてから処分する。

ゴミとしてそのまま廃棄することに抵抗を感じる人が多い。道具に対して「お世話になりました」という感謝の気持ちを込めて手放すことが重視されている。この点は、線香や一礼といった一連の儀式的所作と地続きの発想だ。

体験談

占いコラムニストのスタパ齋藤氏は、1988年頃に易占いを学んだと自身のコラムで振り返っている。師事したのは、当時のゲーム雑誌の占いコーナーを担当していた易の専門家・福田有宵氏だ。習得後は自らパソコン用の「易占機関」という易占ソフトを開発するまでに没入する。現在も8面体サイコロと算木、あるいはタブレット上のツールを使って占いを続けているという。

同氏は易を「脳内に滞っていた正解を意識上に現れやすくする呼び水のような働き」を持つツールだと位置づけている。当たり外れよりも「自分の中に眠っていた判断を引き出す装置」としての効用を強調している。占い師の夏瀬杏子氏は、自分自身に関わる問いを試しに易占いで立てたエピソードを公開している。自身が主宰するタロット・易の練習会を今後も続けるべきかどうかという問いだ。

8面体サイコロ2個と6面体サイコロ1個を使って占ったところ「地風升(ちふうしょう)」の卦が出た。これは「徐々に大きくなっていく」という意味を持つ卦だ。同氏は「昇る」という象意から、当時は参加者が少なかったものの将来的に成長していくと解釈する。練習会をリニューアルせずそのまま継続する決断をしたと述べている。Yahoo!知恵袋には、易占いの実占結果の解釈に悩む投稿者からの質問が多数見られる。

ある投稿者は、ある行動を継続すべきかどうかを自分で占った。「火天大有(かてんたいゆう)」という卦を得たが、第二爻・第四爻・上爻という複数の変爻が同時に出た。そのため解釈に迷い、掲示板に助けを求めていたのだ。回答者からは「対人関係が悪く出費が出るような感じ」という簡潔な読みが寄せられた。それでも投稿者はさらに「なぜそう読めるのか、卦辞・爻辞のどこを根拠にしているのか」を重ねて質問している。

独学で易占いを実践する人が複数の変爻の扱いに苦戦する様子がうかがえる。別の知恵袋の投稿者は、長年8面体の赤色・黒色のサイコロを使ってきた。「赤=上卦(外卦)、黒=下卦(内卦)」というルールで占ってきた。ところがネット上でさまざまな人の意見を見るうちに「逆の割り当てをしている人もいる」ことに気づいたのだ。そして混乱して質問を投稿している。

ベストアンサーを寄せた回答者も同じ経験をしている。

以前は「赤=外卦、黒=内卦」で占っていた。ところが断易を専門家から習った際に指摘される。「黒=外卦、赤=内卦という厳密なルールがある」という指摘だ。以後はそちらのルールに変更したという。変更後は「納得のいく卦が出るようになった」と述べている。

割り当てそのものよりも「一度決めたルールを一貫させること」が的中感覚に影響するという。実占者ならではの生々しい報告になっている。

もう一つ、独学で易占いを学び始めた30代のブロガーによる体験談も興味深い。彼女は当初、易経の解説書を読むだけでは卦辞・爻辞の文語表現がまったく頭に入ってこず、何度も挫折しかけたという。

転機になったのは、実際に10円玉を6枚買ってきて自室の机に専用の布を敷いてからだ。上記のような一礼と深呼吸の所作を毎回欠かさず行うようにした。「儀式めいた手順を踏むことで、初めて『今から本気で問いかける』というスイッチが入った」とブログに綴っている。占的を毎回ノートに書き残す習慣を続けた結果、半年後には自分なりの卦の解釈パターンが蓄積される。

「当たる当たらない以前に、迷ったときに自分の考えを整理する時間として定着した」と振り返っている。この点は、前述のスタパ齋藤氏の「呼び水」という表現とも重なる感想だ。

掲示板・SNSでの反応

5ちゃんねるには「占術理論実践板」という易・断易・四柱推命・気学などを専門に扱う板が独立して存在している。実占の技法や流派の違いについて日常的に議論が交わされている。また占い板には「この占い当たってる!!!」と題したスレッドが長年にわたりシリーズ化されている。パート20・21・29・30・40と回を重ねている。

こうしたスレッドでは易占いに限らずさまざまな占術の的中報告や失敗報告が雑多に投稿されている。易占いについても「変爻の解釈がうまくいって決断できた」といった肯定的な書き込みがある。一方で「同じ質問を何度も占い直して結局よく分からなくなった」という自制心の欠如を後悔する書き込みもある。この両方が見られる傾向がある。一方で懐疑的な意見も存在する。

占い師自身が発信するnoteの記事の中には「占いアプリをおすすめできない理由」を説くものもある。ワンタップで卦や結果が出る手軽なアプリ形式もある。その場合、対面鑑定や自ら手を動かして筮竹やコインを操作する過程で得られる集中力・儀式性が失われる。読み解きの精度そのものが下がると指摘している。

これは易占いに限った話ではない。「自分の手で卦を立てる」という所作そのものに意味があるという考え方がある。易占いの実践者コミュニティの中でしばしば共有されている価値観のようだ。X(旧Twitter)上では「今日の卦」といったハッシュタグがある。占い師や愛好家が日替わりで卦を紹介する投稿文化が続いている。

こうした投稿には、卦の意味を日常の行動指針に落とし込むコメントが多く寄せられる。「今日は乾為天が出たので強気に行動する」「地雷復が出たので今日は無理せず休む」といった内容だ。一方で初心者からの率直な感想も散見される。「結局どう行動すればいいのか分からない」「卦辞の言葉が難しくて毎回調べ直している」という声だ。

断易か周易か、あるいはサイコロの色の割り当てをどうするかという問題もある。こうした技法上の細かい違いについては、SNS上でも意見が分かれることがある。前述の知恵袋の投稿と同様に「流派によって作法が異なる。そのため、自分が信頼する師匠や書籍のルールを一貫して守るべき」という結論に落ち着くやり取りが多く見られる。

情報源一覧

日本易学振興協会「易占の心得」がある。日本易学振興協会「筮竹を使って占う方法」もある。note「【完全ガイド】コイン6枚でできる易占いのやり方とコツ、市原孝」もある。東占房「簡単易占い①」、易経ネット「占い方」もある。インプレスWatch「スタパ齋藤のコレに凝りました、久しぶりに易占を再開!

」夏瀬杏子の占いサイト「超ざっくりと易を説明してみた」がある。Yahoo!知恵袋「易占の読み方について」もある。Yahoo!知恵袋「易占いで質問です(8面の赤色と黒色のサイコロ)」もある。note「占いアプリをおすすめできない理由【占い師の本音】、十兵衛」もある。5ちゃんねる占い板「【雑談】この占い当たってる!!!【OK】」シリーズもある。

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