怪談 田原坂、三月二十日の四十分
毎朝、家の前の桜を数えてから仕事に出る。川沿いの道に一列に植わった、十二本だ。古い借家に一人で住んで、もう十年になる。端の一本は、その借家の奥の間の窓のすぐ前に立っている。夏はその枝の影のおかげで、奥の間の畳が焼けずにすむ。
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