占術は伝統的に「命術」「相術」「卜術」の三つに分けて語られる。三大占術というやつだ。
このうち命術は、生年月日と出生時刻という動かしようのないデータを起点にする。その人が生まれ持った性質、資質、運命の大まかな流れを読み解く占術群である。
人相や手相のように後天的に変化する「形」を見るのではない。易やタロットのように偶然性を介在させるのでもない。「生まれた瞬間の天体配置と暦の巡り」を固定座標として扱う。ここが最大の特徴になる。まあ、動かせない数字を土台にするわけだ。
- 中国、日本、インドで別々に育った
- 四柱推命は、日干を自分自身とみなすところから始まった
- 立春が一年の境目、という最初の落とし穴
- 通変星を割り出し、身強か身弱かを決める
- 十二運と大運、そして流年
- 九星気学は、方位を選ぶための道具である
- 本命星、月命星、そして傾斜宮
- 吉方位取りの、実際の作法
- 北極星を中心に据えた命盤
- 五行局を出して、星を配置する
- 四化星が、時期を教えてくれる
- 空海が唐から持ち帰った密教占星術
- 三九の秘法と、六害宿
- 同じ命式でも、流派で結論が正反対になる
- 転職を一年待った女性の話
- 破軍星の人に、変化の多い職種を勧める
- ネットでの評判は、二つに割れている
- 学びたい人のための、実在の流派と書籍
- 月支に何が入っているかが、最初の分岐点
- 真冬生まれには、まず火が要る
- 聞かれたことに、命式のどこで答えるか
- 傾斜宮が言い当てる、裏の顔
- 布星は、数学的な計算を伴う
- 「壊」の関係にある宿同士
- 最初の一年は、的中率にこだわらないほうがいい
- 数字と文字にも、運命は刻まれている
- ピタゴラスとカバラ、二つの源流
- ライフパスナンバーの出し方
- 一から九、そしてマスターナンバー
- 名前からも数字を出す
- 出生の瞬間に、空へ刻まれた設計図
- 細木数子が体系化した、六つの星
- 画数を五つの格に分ける
- ここからは、今すぐ手を動かせる実占編
- タロットに、まず何を用意するか
- 同じ質問を、何度も引き直さない
- シャッフル前に、何を唱えるか
- ケルト十字を、実際に展開する
- 十枚を、どの順で置いていくか
- 最終結果だけを見ても、意味がない
- 叩いて、月光を浴びせて、しまう
- 手相に、道具はほとんど要らない
- 明るい午前中に、一か月に一度
- 左手と右手を、見比べる
- 生命線、頭脳線、感情線を順に追う
- 運命線がない人も、たくさんいる
- 筮竹五十本と、コイン六枚
- 一つの事柄について、二度占ってはいけない
- 始めの一礼と、終わりの一礼
- 五十本のうち、一本は使わない
- 天策、地策、人策に分ける
- コインでやるなら、六回投げる
- 筮竹は、床に置かない
- 命術に、祈願文の伝統は薄い
中国、日本、インドで別々に育った
中国では陰陽五行思想と干支暦の発達を背景に子平、つまり四柱推命が育った。日本では易の後天定位盤を応用した気学が生まれる。インドでは占星術、ジョーティシュが独自の命術体系として発展した。
代表格は四柱推命・九星気学・紫微斗数・宿曜占星術の四つである。ここではこの四本柱を軸に、起源から流派、そして初心者が実際に自分や他人の命式を立てて読めるようになる具体的手順まで踏み込んでいく。
四柱推命は、日干を自分自身とみなすところから始まった
四柱推命の源流は、中国唐代の李虚中が生年月日を干支に置き換えて運命を占った「三柱の法」に遡るとされる。
それを宋代の徐子平が発展させた。日干、つまり生まれた日の十干を自分自身とみなし、年・月・日・時の四本の柱すべてを使う体系にしたのだ。だから「子平術」とも呼ばれる。
日本には江戸時代に伝来し、明治以降に阿部泰山が『阿部泰山全集』としてまとめ、戦後は高木乗などが普及に貢献した。
現代日本の四柱推命には、複数の系統が並立している。阿部泰山流をベースにした日本式四柱推命、台湾や香港系の子平八字、さらに近年輸入された盲派だ。同じ生年月日でも流派によって強弱判断や吉凶の結論が食い違うことが珍しくない。
立春が一年の境目、という最初の落とし穴
自分の命式を立てて読むための最低限の手順を追ってみよう。
まず生年月日時をもとに、干支暦つまり万年暦を使う。命式作成サイトやアプリでもいい。そこから年柱・月柱・日柱・時柱それぞれの十干十二支を割り出す。
ここで肝心なのは、四柱推命の一年の境目が一月一日ではないことだ。立春、毎年二月四日頃が境目になる。月柱の境目も節入り、つまり各月の節気の日である。
立春前に生まれた人は前年の干支で年柱を出す。このルールを知らずに命式を作ると根本的に誤った鑑定になる。初心者が最初につまずく最大のポイントがここだ。先に言っておくと、ここを外すと後の全部が無駄になる。
通変星を割り出し、身強か身弱かを決める
次に日柱の天干、日主とも日干とも呼ばれるものを確認する。これが自分自身を表す中心軸になる。
日主から見て、他の柱の天干と地支に内包された十干がそれぞれ何の関係にあるかを比較する。そして比肩・劫財、食神・傷官、偏財・正財、偏官・正官、偏印・印綬という「通変星」を割り出す。この通変星の組み合わせと量のバランスから、その人の性格や才能、対人関係の傾向を読む。
さらに命式全体の五行、木火土金水の量を数え、日主が強いか弱いか、いわゆる身強か身弱かを判定する。日主を助ける五行か抑える五行かで「用神」、その人にとって最も必要な運を決める。この用神の判定こそが四柱推命の最難関であり、流派によって理論が分かれる部分でもある。
十二運と大運、そして流年
続いて十二運を各柱に当てはめる。長生・沐浴・冠帯・建禄・帝旺・衰・病・死・墓・絶・胎・養の十二段階で、エネルギーの盛衰を見るためのものだ。
最後に、十年ごとに巡る「大運」と一年ごとの「年運」、流年とも呼ぶものを命式に重ねる。これでいつ頃どんな出来事が起きやすいかという時期を鑑定できる。
実務では、恋愛や結婚の時期を占う場合は財星と官星が巡る大運年運を見る。仕事運なら官殺と食傷の巡りを重点的に見る。鑑定目的に応じて着目する星を絞り込むのが、プロの技術だ。
九星気学は、方位を選ぶための道具である
九星気学は、中国の易と洛書に由来する九星を基礎に置く。一白水星・二黒土星・三碧木星・四緑木星・五黄土星・六白金星・七赤金星・八白土星・九紫火星の九つだ。
これを大正から昭和にかけて園田真次郎が「気学」として体系化し普及させたのが、直接の起源とされる。
単なる性格占いではない。方位の吉凶を判断して転居や旅行、開業日を選ぶ「方位術」としての実用性が最大の特徴になる。風水と混同されがちだが、九星気学は個人の生年、つまり本命星を基準に方位を判断する。家相や風水は建物や土地そのものの気の流れを見る。ここが違う。
本命星、月命星、そして傾斜宮
まず生まれた年から早見表を使って本命星を求める。ただし年の切り替えは立春基準だ。一月一日から二月三日生まれは前年扱いになる。四柱推命と同じ落とし穴がここにもある。
次に生まれた月から月命星を出し、本命星と月命星の組み合わせから傾斜宮、つまり性格の裏側の傾向を割り出す。ここまでで基本的な性格診断は完成する。
方位取りを行う場合はさらに実践的な手順に進む。その年と月と日の九星方位盤、年盤・月盤・日盤を用意し、自分の本命星が盤上のどの方位に位置しているかを確認する。五黄土星と破軍星、いわゆる暗剣殺が現在どの方位に回座しているかも見る。
吉方位取りの、実際の作法
自分の本命星から見て相生となる吉方位、相剋となる凶方位を、五行の生剋関係で判定する。木生火・火生土・土生金・金生水・水生木が相生。木剋土・土剋水・水剋火・火剋金・金剋木が相剋だ。
実際に転居や長期旅行をする際は、現在地から見て吉方位にあたる方角を選ぶ。かつ五黄殺・暗剣殺・歳破など凶方位が重なっていない方角であることを確認する。そして目的地までの距離が一定以上、一般に百キロ以上が効果的とされるが、それだけ離れていることを確かめてから実行する。これが吉方位取りの基本作法である。
九星気学の鑑定士は、この方位盤を年盤・月盤・日盤の三重で重ね合わせる。依頼者の相談内容に応じて、転職なら仕事運が強まる方位、恋愛なら異性運が強まる方位という具合に、最適な移動先と時期を提案する。
北極星を中心に据えた命盤
紫微斗数は、中国の宋代に道士の陳希夷、陳摶とも呼ばれる人物が創始したという伝説を持つ占術だ。
北極星である紫微星を中心とした天の星々の並びを模した「命盤」に、生年月日時から割り出した十四主星と多数の補助星を配置して運命を読む。東洋占星術の中でも極めて情報量の多い体系である。
台湾や香港では四柱推命以上にポピュラーで、政財界の意思決定に使われることもあると言われている。
五行局を出して、星を配置する
紫微斗数は手計算が非常に複雑だ。実務では専用ソフトやアプリで命盤を自動生成するのが一般的だが、原理を理解することが鑑定の質を左右する。
まず生年月日時、可能なら旧暦換算したものから「五行局」という数値を算出する。次に五行局と生日の数から紫微星が入る宮位を決定し、そこを起点に天機星・太陽星・武曲星・天同星など主要な星を一定の規則で配置していく。これを布星と呼ぶ。
配置先は命盤の十二宮だ。命宮・兄弟宮・夫妻宮・子女宮・財帛宮・疾厄宮・遷移宮・奴僕宮・官禄宮・田宅宮・福徳宮・父母宮の十二種類になる。
このうち命宮に入っている星が、その人の生まれ持った性格・容姿・才能の核を示す。身宮は後天的に力を発揮する分野を示す。
四化星が、時期を教えてくれる
相談内容に応じて該当する宮を読む。結婚なら夫妻宮、金運なら財帛宮、仕事なら官禄宮。そこに入っている主星と補助星の組み合わせを見ていく。
さらに四化星、化禄・化権・化科・化忌という毎年と毎大限で巡る特殊な作用点を重ねる。これでいつ財運が伸びるか、いつ人間関係のトラブルが起きやすいかという時期予測を行う。
十年ごとの「大限」、一年ごとの「流年」を命盤に重ねて時系列の運勢を読むのは、四柱推命の大運と流年と同じ発想だ。
初心者はまず命宮と身宮の主星の意味を覚えるところから始めるといい。慣れてきたら十二宮すべてに視野を広げていく。これが挫折しにくい学習順序とされている。正直、いきなり十二宮を全部覚えようとすると潰れる。
空海が唐から持ち帰った密教占星術
宿曜占星術、正式には『宿曜経』に基づく宿曜道は、平安時代初期に弘法大師空海が唐から日本に持ち帰った密教占星術だ。
月が天球上を通過する二十七、あるいは二十八の星宿に生年月日を当てはめて、運命と相性を占う。インド占星術のナクシャトラを源流とし、中国を経由して日本の密教に取り込まれたという成立史を持つ。
「弘法大師の秘術」として寺院で伝承されてきた側面がある。これが、他の命術にはない神秘性と権威性を持たせている理由のひとつだろうね。
三九の秘法と、六害宿
まず生年月日から二十七宿早見表を使い、自分の生まれた日に月がどの宿にあったか、つまり本命宿を割り出す。早見表はインターネット上に多数公開されているし、専用書籍の巻末表にも載っている。出生時刻によっては宿の境界をまたぐ日もあるため、際どい生まれの場合は正確な暦での確認が必要になる。
本命宿が示す基本性格、才能、向いている生き方を読む。
相性占いでは「三九の秘法」を使う。自分の本命宿を基準の「命」の位置に置き、そこから宿の配列を九つずつ数えた先にある宿を「業」、さらに九つ先を「胎」とする。この命・業・胎の関係にある宿同士は、強い縁で結ばれる相手とされる。
それ以外の相手との相性は、栄・親・友・衰・危・安・壊という六つの関係性に当てはめて判定する。六害宿と呼ばれる相性の悪い組み合わせも含まれる。
とりわけ「六害宿」は宿曜占星術で最も有名な概念だ。強く惹かれ合うが同時に激しく傷つけ合う「宿命の相手」を示すとされ、芸能人や有名人の熱愛や破局報道の解説でしばしば引用される。
同じ命式でも、流派で結論が正反対になる
四柱推命は日本式、台湾式子平八字、香港式、近年注目される盲派で、用神の取り方や吉凶判断の基準が大きく異なる。同じ命式でも流派によって正反対の判断が出ることがある。
九星気学も「気学」と「九星術」で微妙に流儀が異なり、五黄殺と暗剣殺の扱いの厳しさに差がある。紫微斗数は台湾伝統派と中州派で布星のルールに細かな違いがある。宿曜占星術も、密教系の伝承と現代占い師が再構成した簡易版とで用語や吉凶の強調点が異なる。
初心者はまず一つの流派の教科書を通しで学ぶといい。基礎が固まってから他流派の違いを比較する。遠回りに見えて、実はこれが近道なんだよな。
転職を一年待った女性の話
ある会社員女性は、転職を考えていた三十二歳の年に四柱推命の鑑定を受けた。
言われたのはこうだ。今年は官殺が強く出ていて環境が変わりやすいが、来年の年運で正財が巡るまで待った方が金銭的に安定する。
半信半疑のまま転職活動を保留したところ、その年のうちに勤務先の部署再編で望んでいたポジションに異動できた。翌年には昇給も実現したという体験を、ブログに綴っている。
逆の例もある。九星気学で「大凶方位」と言われた方角に転居した女性が、四年後に振り返ってこう書いている。引っ越し直後の一年から二年は人間関係のトラブルが続いたが、環境そのものは悪くなく、今は結果的に良かったと思っている、と。方位の凶作用が必ずしも即座に破滅的な結果を招くわけではない、という実感を語っている。
破軍星の人に、変化の多い職種を勧める
紫微斗数の鑑定師の元には、命宮に破軍星が入る依頼者が訪れた。何度転職しても長続きしない自分を変えたい、という相談である。
鑑定師は、破軍星の持つ「変化・破壊と再生」の性質を逆手に取った。あえて変化の多い職種、フリーランスや複数拠点で働くスタイルを勧めたのだ。すると本人の適性と合致して安定した、という鑑定エピソードが紹介されている。
宿曜占星術では、交際相手が自分にとっての六害宿だと知った女性の話がある。「妙に惹かれるのに喧嘩が絶えない理由が腑に落ちた」とSNSに投稿し、関係の続け方そのものを見直すきっかけになったという。
ネットでの評判は、二つに割れている
五ちゃんねる占い板の四柱推命スレッドでは、不満が定期的に書き込まれる。用神の取り方が鑑定士によって全然違って結論が真逆になる。同じ生年月日でも占い師によって性格診断が全く合わない。そういう声だ。
その一方で「大運の変わり目にピタリと転機が来て鳥肌が立った」という肯定的な体験談も多く投稿されている。
九星気学の吉方位取りについては、質問サイトやブログ界隈で「吉方位に引っ越したのに全然運気が上がらない」という質問が頻出する。これに対し実践者からは「距離が足りていない」「五黄殺や暗剣殺など凶意の重なりを見落としている」といった技術的な指摘が返される。この構図が定番になっている。
紫微斗数は情報量が多い分「複雑すぎて素人には検証しづらい」という声がある。一方、台湾在住経験者からは「向こうでは血液型占いより紫微斗数の方が話題になるくらい生活に根付いている」という評もある。
宿曜占星術は六害宿の話題が拡散されやすい。有名人カップルの生年月日を照合して盛り上がる、いわゆる宿曜考察が一種のコンテンツ化している。
学びたい人のための、実在の流派と書籍
四柱推命では阿部泰山の『阿部泰山全集』、そして高木乗の名が挙がる。現代では電話占い各社に多数の四柱推命専門鑑定士が在籍している。
九星気学は園田真次郎を体系化の祖とし、以後多くの気学会や易学会がこの系統を継承した。紫微斗数は陳希夷を開祖とする伝承を持ち、台湾や香港の紫微斗数専門書が日本語訳されて流通している。宿曜占星術は空海の密教伝承を起点とし、現代では『宿曜経』の解説書や、二十七宿早見表付きの実用書が複数の出版社から刊行されている。
いずれの占術も、独学用の入門書から専門学校の資格講座まで学習ルートが整っている。命式や命盤を自分の手で立てられるようになること。それが、鑑定の当たり外れを自分自身で検証する第一歩になる。
月支に何が入っているかが、最初の分岐点
四柱推命の最難関とされる用神判定について、実際に鑑定士が行う作業をもう少し分解してみたい。
まず命式に現れる五行のうち、日主と同じ五行である比劫と、日主を生む五行である印星を合計した勢力を出す。これと、日主が生む食傷、日主が剋す財星、日主を剋す官殺を合計した勢力とを比較する。前者が優勢なら身強、後者が優勢なら身弱と大まかに判定する。
ただしこの数え方は単純な数の多寡だけではない。月支、つまり生まれた月の地支に何が入っているかを最重要視するのが実務上の作法だ。
日主が生まれた月に「自分と同じ五行の気」を得ているかどうか。これを得令と呼ぶ。得令が身強と身弱の判定の最初の分岐点になる。得令していればそれだけで身強に傾きやすく、得令していなければ他の柱でよほど強い後押しがない限り身弱に傾く。これが実務家の間で共有される経験則らしい。
真冬生まれには、まず火が要る
身強の命式であれば、日主の力を洩らす食傷、日主が剋す財星、日主を剋す官殺のいずれかを用神候補とする。身弱の命式であれば、日主を生む印星、あるいは同じ五行の比劫を用神候補とする。これが基本パターンだ。
だが実際には「調候用神」という別の考え方も併用される。季節の寒暖を調整する五行を優先するという発想だ。
たとえば真冬に生まれた命式では、身強や身弱の理屈よりも先に「火」の五行が必要とされることが多い。単純な強弱理論だけでは割り切れない複雑さがある。
この調候の概念を知っているかどうかが、独学者とプロの鑑定士の間の大きな技術差になっているとされる。
聞かれたことに、命式のどこで答えるか
プロの四柱推命鑑定士は、相談内容を聞いた上で命式のどこに焦点を当てるかを最初に決める。
たとえば「結婚できるかどうか」という相談。まず日主から見た配偶者を示す星、男性なら財星、女性なら官星が命式内にあるかどうかを確認する。その星が日主にとって喜ばしい状態、用神やそれに準じる喜神にあるかどうかも見る。そのうえで大運と年運でその星が巡ってくる時期を探し、いつ頃に良縁が来やすいかを提示する。
「仕事が長続きしない」という相談ならどうか。官殺や食傷の乱れ、あるいは特定の十二運、絶や墓など弱い状態が官殺にかかっていないかを確認する。必要であれば「独立して自分のペースで働く方が向いている命式」であることを伝える。
聞かれたことに対して、命式のどの部分を根拠にして答えるか。この組み立て方の訓練こそが、実占の学習では教科書の暗記以上に大きい。多くの四柱推命講座で、実際の相談事例を使った演習に多くの時間が割かれるのはそのためだ。
傾斜宮が言い当てる、裏の顔
傾斜宮は、本命星と月命星の組み合わせから求める。後天定位盤という基準図の上で、どの宮に自分が位置するかを割り出す。坎宮・坤宮・震宮など八つの宮と中央がある。
その宮が持つ象意を、その人の「表には出にくい潜在的な性格や生き方の癖」として読む。
実務では、本命星だけで語られる性格診断と、傾斜宮が示す性格が食い違うことがよくある。一白水星なら思慮深く柔軟、五黄土星なら中心的でカリスマ性がある、といった診断のことだ。そしてこの食い違いこそが「本人も気づいていない裏の顔」を言い当てる鑑定として評価される部分になる。
たとえば表向きは社交的で明るい本命星を持ちながら、傾斜宮が孤独や内省を象徴する宮に入っている場合。「人前では明るく振る舞うが、実は一人の時間を強く必要とするタイプ」。そう伝えると、依頼者から強い納得感を得られることが多いらしい。
傾斜宮の算出には早見表を用いるのが一般的だ。本命星と月命星の組み合わせごとに傾斜宮が一意に決まる対応表が、テキストや講座資料に必ず掲載されている。
布星は、数学的な計算を伴う
紫微斗数の布星、星を配置する作業をもう少し掘り下げておく。
まず生年月日時から五行局という数値を算出する。水二局・木三局・金四局・土五局・火六局のいずれかだ。続いて生まれた日の日数をこの五行局の数値で割った商と余りを使って、紫微星の入る宮を決める。数学的な計算を伴う作業になる。
紫微星の位置が決まれば、そこから天機星・太陽星・武曲星・天同星・廉貞星という主要な星が固定の順序で他の宮に配置される。さらに紫微星の対宮、真向かいの宮に天府星が入り、そこからも一連の星が順序通りに配置されていく。
実務ではこの複雑な計算をソフトに任せるのが一般的だ。だが鑑定士が原理を理解していないと、命盤に出てきた星の組み合わせが持つ意味を柔軟に解釈できない。だから初学者向けの講座では、手計算での布星演習を課すところも少なくない。
相談内容に応じてどの宮を重点的に読むかという判断も大きい。財運の相談であれば財帛宮だけでなく、財帛宮から見て一定の角度関係にある三方四正、つまり官禄宮や福徳宮も合わせて確認する。複数の宮にまたがる星の吉凶を総合して判断するのが、本格的な鑑定の作法とされる。
「壊」の関係にある宿同士
宿曜占星術の相性鑑定では、命・業・胎の関係にある三九の秘法が最も重視される。だが実務ではこれに加えて、二つの関係群も見る。栄・親・友は穏やかに支え合う組み合わせ。衰・安・壊は緊張感や試練を伴う組み合わせだ。これらを合わせて総合的に判断する。
とくに「壊」の関係にある宿同士は、宿曜占星術の中でも最も注意が必要な組み合わせとされる。価値観の根本的なズレから深刻な対立に発展しやすいと解説されることが多い。
実際の鑑定では、単に「あなたと相手は六害宿だから危険」と告げるだけでは足りない。六害宿の関係にある相手とはどのような点ですれ違いやすいのか、どう工夫すれば関係を維持できるのか。そこまで踏み込むのが、単なる相性判定を超えた実践的な鑑定の価値とされている。
芸能人カップルの生年月日を宿曜占星術に当てはめて相性を解説するコンテンツは、SNSでも根強い人気がある。破局報道が出るたびに「実は六害宿だった」という考察が拡散する現象が繰り返されている。
最初の一年は、的中率にこだわらないほうがいい
命術を独学で身につけたい初心者には、まず一つの占術に絞ることが勧められる。多くの入門者は、比較的教材が豊富な四柱推命か九星気学を選ぶ。
そして自分と家族、親しい友人など、性格や人生の出来事をよく知っている数人分の命式を実際に立てて読んでみる。これが最初のステップだ。既知の人物の性格や過去の出来事と命式の内容を照らし合わせることで、教科書的な知識が実感を伴って身についていく。
次の段階として、SNSやブログで生年月日を公開している有名人の命式を試しに立ててみる。報道されている出来事、結婚や離婚、事業の成功や挫折などが、大運と流年のどのタイミングと重なるかを検証する。この練習も実占力を鍛える上で効果的とされる。
この検証を繰り返す中で、教科書通りの理論だけでは説明しきれないケースに必ず遭遇する。そこで初めて、流派ごとの理論の違いや、複数の要素を総合的に判断する応用力の必要性が実感できるようになる。
多くの実占家が口をそろえて言うことがある。最初の一年から二年は的中率にこだわりすぎず、とにかく数をこなして命式を読む感覚を養うこと。それが遠回りに見えて一番の近道だ、と。この実践的な検証サイクルの重要性を、経験的に理解しているからだろう。
数字と文字にも、運命は刻まれている
四柱推命が干支の組み合わせで、九星気学が方位と星の巡りで、紫微斗数が星座配置で、宿曜占星術が二十七宿で運命を読み解く。命術の世界には、まだ知られざる体系がいくつも存在する。
ここで扱う数秘術・西洋占星術・六星占術・姓名判断も、いずれも命術の一族だ。生年月日や氏名という、一度きり定まった不変のデータを起点に運命を読み解く点で紛れもない。
そして東洋の陰陽五行とはまったく異なる論理を使う。数字の振動、天体の配置、画数の吉凶。それでいて「生まれた瞬間にすべてが決まっている」という同じ世界観にたどり着いている。
ピタゴラスとカバラ、二つの源流
数秘術の源流は二つある。
ひとつは紀元前六世紀のギリシャに生きた数学者ピタゴラスだ。彼は「万物は数である」という哲学のもとに、数字そのものに固有の性質と振動があると説いた。
もうひとつはユダヤ教神秘思想カバラである。ヘブライ文字の一つひとつに数値を対応させるゲマトリアという解釈技法が、のちに西洋の数秘術に取り込まれていった。
現代の数秘術には、さらに別の流れも加わる。古代バビロニアの流れを汲むとされるカルデア式。電話番号や住所まで分析対象を広げるモダンヌメロロジー。それらが混ざり合っている。流派によって計算の作法が微妙に異なる、複雑な集合体として実践されているわけだ。
ピタゴラス式はアルファベットをAが一、Bが二と単純に連番で対応させる。対してカルデア式は文字の音の響きを重視する。九という数字を神聖視して意図的に使わず、音韻ごとに一から八を割り振る独自の対応表を持つ。カバラ数秘術の対応表も、これとは別に存在する。
一にA・J・S、二にB・K・T、三にC・L・U。九つの数字に文字を三つずつ配分する体系だ。
どの流派を選ぶかで同じ名前からまったく違う数字が出てくることもある。これが数秘術師同士の解釈論争の種にもなっている。
ライフパスナンバーの出し方
実占の入り口として最も広く使われるのが、生年月日から導くライフパスナンバーだ。
計算はいたって単純だ。ちなみに電卓すら要らない。生年月日の数字をすべて一桁ずつバラバラにし、合計が一桁になるまで足し続ける。あるいは十一、二十二、三十三のいずれかになるまで足す。
たとえば一九八五年十月二十六日生まれなら、一足す九足す八足す五足す一足す〇足す二足す六で三十二。さらに三足す二で五となり、この人物のライフパスナンバーは五と算出される。
ここで注意すべきは、途中経過や最終結果が十一、二十二、三十三になった場合の扱いだ。カバラ数秘術ではこれらをマスターナンバーと呼ぶ。本来なら還元すべきところをあえて還元せず、一から九とは別格の強い霊的使命を帯びた数として保持する。
占い師によっては「マスターナンバーは諸刃の剣で、才能が大きい分だけ試練も大きい」と説明することが多い。鑑定の現場では、この数字を持つ相談者に特別な扱いをすることも珍しくない。
一から九、そしてマスターナンバー
数字ひとつひとつの意味も体系だっている。
一は開拓者。独立心と行動力の象徴で「誰も歩いていない道を最初に歩く人」とされる。二は調和と協調、二人三脚のパートナーシップを司り、感受性が強く裏方に回ることを好む。三は創造性と表現力、子どものような無邪気さで周囲を明るくする才能を持つとされ、芸能や芸術の世界に多いといわれる。
四は安定と堅実、コツコツ積み上げる力の数字で、建築や経理のような緻密な仕事に向くと語られる。五は自由と変化、旅と冒険を愛し一箇所にとどまることを嫌う性質を持つ。六は愛と責任、家庭的で世話焼き、周囲から頼られる母性的なエネルギーを体現する。
七は探求と孤独。精神性を追求する哲学者や研究者タイプで、群れることを好まない。八は物質的成功と権力、ビジネスセンスに長け大きな富を築く可能性を秘めた数字とされる。九は博愛と奉仕、広い視野で世界全体を見渡す完成の数字であり、個人的な欲より人類全体の幸福を願う傾向が強いと解釈される。
そしてマスターナンバーが来る。十一は鋭敏な直感とインスピレーションを持つ「メッセンジャー」。二十二は壮大なビジョンを現実に落とし込む「マスタービルダー」とされる。三十三は無条件の愛で人々を癒す「マスターティーチャー」。それぞれ特別枠の解釈が与えられている。
名前からも数字を出す
ライフパスナンバーだけではない。氏名のアルファベット表記から導く運命数、ディスティニーナンバーがある。名前の母音だけを抜き出して計算するソウルナンバーは、内なる自分を表す。子音だけを合計するパーソナリティナンバーは、他人から見た印象を表す。
数秘術にはこうした複数の指標が併存し、これらを重ね合わせて多面的にひとりの人物を読み解くのが本格的な鑑定の流儀だ。
日本では生年月日だけで完結する簡易診断が、SNSや占いメディアで爆発的に広まった。誕生日を入力するだけでライフパスナンバーと相性を表示するアプリも出た。数秘術鑑定士を名乗る個人が有料セッションを提供する例も急増している。
実践者のなかには、自分の数字に対応する色の石を身につける人もいる。一なら情熱の赤、七なら知性の紫といった具合だ。毎朝「私は何番の人間として今日を生きる」と数字にまつわる肯定的な言葉を唱えるアファメーションを日課にする人もいる。
さらに近年は「エンジェルナンバー」という派生的な実践も広く定着した。百十一や二百二十二といった同じ数字の並びを日常で見かけるたび、意味を読み解くというものだ。数秘術の考え方が形を変えて、スピリチュアル文化の隅々に浸透している様子がうかがえる。
出生の瞬間に、空へ刻まれた設計図
西洋占星術も、命術というカテゴリの中では欠かせない一角を占める。
出生時刻と出生地という、動かぬ二つのデータを使う。その瞬間に太陽・月・水星から冥王星までの十天体が、どの星座のどの度数にあったかを算出する。さらに東の地平線が指す度数であるアセンダントを起点に十二のハウスを割り出し、一枚の円形図、いわゆるネイタルチャートを作成する。
作成自体は、現在ではオンラインの無料計算ツールに生年月日・出生時刻・出生地を入力するだけで数秒で完成する。だが読み解きにはやはり段階がある。
まず太陽星座で「公的な自分と人生の目的」を、月星座で「内面の感情と無意識の欲求」を確認する。アセンダントで「他人に見せる第一印象、生まれ持った処世術」を読む。
次にミッドヘブンで社会的な立ち位置や天職の方向性を、アイシーで心の基盤や家庭観を確認する。最後に天体同士がなす角度、いわゆるアスペクトを見ることで、才能同士がどう協調し、あるいは摩擦を起こしているかを統合的に読み解く。
この一連の手順を踏むことで、単に「射手座生まれ」という一言では捉えきれない、その人だけの複雑な設計図が浮かび上がる。
細木数子が体系化した、六つの星
昭和期に細木数子によって大成され、テレビや年間運勢本を通じて日本中に広まった六星占術。これも生年月日という不変のデータのみで占う純粋な命術だ。
占い方はまず専用の運命数表から生年月日に対応する運命数を割り出す。そこに独自の計算式を当てはめて星数を求める。式は「運命数から一を引き、生まれた日を足す」というもので、六十を超えた場合は六十を引く。
この星数の範囲によって、土星人・金星人・火星人・天王星人・木星人・水星人という六つの運命星のいずれかに分類される。さらに生まれた年の干支が子・寅・辰・午・申・戌ならプラス、丑・卯・巳・未・酉・亥ならマイナスという陰陽判定を加える。これで最終的に十二種類のタイプへと絞り込まれる。
この体系のもっとも有名な概念が「大殺界」だ。六年に一度、三年間の低調期が巡ってくる。その間は転職や結婚といった人生の大きな決断を避けるべきだという教えが、当時の日本社会に強い影響を与えた。
画数を五つの格に分ける
漢字文化圏に固有の命術として発展してきた姓名判断は、名前を構成する漢字の画数を五つの格に分けて吉凶を読む点に特徴がある。
大正から昭和にかけて熊崎健翁が体系化した熊崎式が、現在も主流だ。
姓の画数を合計した天格は、家系から受け継ぐ運勢を示す。姓の最後の一字と名の最初の一字を足した人格は、その人自身の中心的な性格と中年期の運勢を示す。名前全体の画数を合計した地格は幼少期から青年期の運勢。総格から人格を引いた外格は対人関係や社会運。姓名全体を合計した総格は、晩年までを含めた総合運を示すとされる。
一字姓や一字名の場合は、熊崎式では霊数として一画を補って計算するのが主流だ。また常用漢字の新字体ではなく、本来の旧字体の画数を優先するという独特のルールも存在する。
この画数体系は単なる性格診断にとどまらない。赤ちゃんの命名や会社名・芸名の吉凶判断にまで幅広く応用されてきた。運勢を好転させる目的で改名や芸名変更を行う例は、芸能界を中心に今も珍しくないらしい。
ここからは、今すぐ手を動かせる実占編
ここまでは「生年月日と氏名を計算して読む」命術群の理論と実務手順を扱ってきた。
ここからはその延長として、命術と並んで初心者が今すぐ自宅で実占できる代表的な占術を扱う。タロット占い、手相占い、易占いの三つだ。
個人ブログや占い専門サイト、SNS、動画配信の概要欄やコメント欄。そこで語られている「実際の手順」を横断的に集め、五つの観点でまとめていく。用意するもの。行う日時や方角、時間帯、回数。唱える言葉。
動作と所作の詳細な流れ。そして後始末、道具の浄化と保管方法。
理論の説明ではなく、そのまま真似して手を動かせる実占マニュアルとして書く。ここが前半との最大の違いになる。
タロットに、まず何を用意するか
タロット占いを始めるにあたって最低限必要なものから見ていこう。
まずタロットカード本体。初心者には大アルカナ二十二枚と小アルカナ五十六枚を合わせた七十八枚フルデッキがいい。なかでも絵柄がすべてのカードに描かれているウェイト・スミス版、ライダー・ウェイト版とも呼ばれるものが世界的に最も普及している。解釈書や講座の多くがこの版を前提に書かれているため、最初の一組として推奨されている。
次に、カードを広げるための専用クロス。テーブルに直接カードを置くよりも、黒や紺など落ち着いた色の布を一枚敷いてその上で展開する方が、場が引き締まり集中しやすいとされる。
あわせて、鑑定結果や気づきを書き留めるノートまたは手帳。可能であれば浄化用の道具、セージやパロサント、または浄化用のクリスタルも用意しておくと一連の作法が完結する。占う前に部屋を掃除し換気をして空気を入れ替えておくことも、多くの実践者が共通して勧める準備のひとつだ。
同じ質問を、何度も引き直さない
タロットは易占いや九星気学ほど厳密な暦の吉凶を要求しない。それでも実践者の間で共有されている作法がある。
心身が落ち着いている時間帯に行うのがいいとされる。具体的には、起きた直後の頭がすっきりしている朝。または一日の雑事が片付いた夜、寝る前の静かな時間だ。
方角については東向きに座る、朝日の気を受ける方向とされる、ことを勧める流派もある。だが必須ではないけどね。それよりも携帯電話を機内モードにする、テレビを消すなど、雑念を遮断する環境づくりの方が重視される。
同じ質問を何度も占い直す「同一質問の重ね引き」は、カードの答えを歪めるとして多くの実践者が避けるべきとしている。一つの質問につき数日から一週間程度は間を空けてから占い直すのが目安だ。月に一度、満月または新月の夜に「今月の運勢」としてケルト十字を展開する、という月次の習慣にしている実践者も多い。
シャッフル前に、何を唱えるか
シャッフルを始める前に、多くの実践者が心の中で、あるいは小声で言葉を唱える。
「タロットよ、どうか今の私に必要な真実を見せてください」「私が知るべきことを、この一枚一枚に映してください」。カードに対する敬意と質問の明確化を兼ねた、短い祈願の言葉だ。
これはキリスト教的な祈祷文のような定型句ではない。占い師によって表現は様々だが、共通しているのは三つの要素である。雑念を払うこと。質問を一文で明確にすること。カードへの敬意を示すこと。
実占の場では、次のような一連の言葉を唱える例が広く紹介されている。「今から占いを始めます。何々について、私に必要な気づきを見せてください。よろしくお願いします」。占い終了後には「ありがとうございました」と一言添えて締めくくるのが作法とされる。
ケルト十字を、実際に展開する
実際にケルト十字スプレッドを展開するまでの動作を追ってみよう。
まずカード全七十八枚を一つの山にまとめ、裏向きにクロスの上に置く。両手でカードの山全体を大きく崩しながら、時計回りに円を描くようにゆっくりと混ぜ合わせる。この間、先に唱えた質問を頭の中で繰り返し思い浮かべ続ける。
十分に混ざったと感じたら、カードを一つの山にまとめ直す。山を利き手でない方の手で持ち、任意の位置で三つの山に分割する。カットと呼ばれる作業だ。三つの山を、最初に置いた順とは異なる順序で重ね直し、一つの山に戻す。
ここで注意がある。トランプのようなリフルシャッフル、弾き混ぜはタロットでは行わない。正位置と逆位置の向きが崩れてしまい適さないからだ。横から差し込むように混ぜる、または山を崩して手のひらでかき混ぜる方法に留める。
十枚を、どの順で置いていくか
山の一番上から一枚目を引き、クロスの中央に縦向きに置く。現在の状況を示すポジション一だ。
二枚目を引き、一枚目の上に横向きに重ねる。これで小さな十字が形成される。テーマと障害を示すポジション二で、このカードは正位置と逆位置を区別せず、常に正位置の意味で読む。
三枚目は一枚目と二枚目の下に縦向きに置く。顕在意識、表面化している事柄だ。四枚目は上に縦向きに置く。潜在意識、根底にある事柄になる。
五枚目は左に置いて近い過去、六枚目は右に置いて近い未来。ここまでで中央の十字が完成する。
七枚目からは、中央の十字から見て右側に縦一列を作っていく。一番下が七枚目で相談者自身の立場。その上が八枚目で周囲の環境と他者の心理。さらに上が九枚目で相談者の願望や恐れ。一番上の十枚目が最終結果になる。
最終結果だけを見ても、意味がない
読み方にも順序がある。
まず十字の周辺、ポジション一・三・四・五・六を「過去から現在、そして未来」の時間軸として左から右へ読む。続いて右側の縦一列四枚を下から上へ読む。本人の立場、周囲の状況、願望、そして結果という順だ。
十枚目の最終結果は単独で判断しない。残り九枚の流れ全体を踏まえて統合的に解釈する。これが実占のコツとされる。
叩いて、月光を浴びせて、しまう
占いを終えたら、まずカード全体を一度指で軽く叩く「タッピング」を行う実践者が多い。
利き手でない方の手でカードの束を持ち、利き手で軽く拳を作って側面または束の上部を一回、コンと叩く。これで場のエネルギーをリセットするという作法だ。
これに加え、月に一度程度、満月の夜に窓辺やベランダにカードを置いて月光を浴びせる「月光浴」による浄化を行う実践者も多い。直射日光は色褪せの原因になるため避け、必ず夜間の月光で行う。
セージの葉やパロサントの香煙をカードの上にくぐらせて煙で清める方法、透明な水晶をカードの上に一晩置いておく方法も広く紹介されている。
浄化後は、カードを購入時の箱に戻すか、専用のシルクの布で包んでから箱やポーチに収納する。布はできれば黒・紺・紫など光を通しにくい色がいい。そして直射日光の当たらない棚の上など「粗末に扱われない高い場所」に保管してほしい。他人にカードを気軽に触らせない、床に直接置かない。そういう扱いの丁寧さそのものが浄化を保つ習慣になる、という指摘も実践者の間で共有されている。
手相に、道具はほとんど要らない
手相占いは基本的に道具を必要としない占術だ。それでも実占の精度を上げるために、いくつか用意すると良いものがある。
まず十分な明るさの照明。自然光に近い白色の光が線の凹凸を確認しやすいとされる。手のひらの細かい線を確認するためのルーペ。確認した内容を記録するノート。
そして手のひらの皺をより見やすくするために、手を洗って乾燥させておく。ハンドクリームで保湿しすぎると逆に線が見えにくくなるため、乾いた清潔な状態が望ましい。
プロの手相鑑定士の中には、依頼者の手形を残すためにスタンプ台と専用紙を用意する人もいる。手のひらの写真を撮影するためのスマートフォンを使う例もある。
明るい午前中に、一か月に一度
手相は生まれ持った線に加え、後天的な生活習慣によって変化していく「相」である。だから命術のような厳密な吉日選びは必要とされない。
それでも実践者の間では、明るい自然光が入る午前中、とくに手のひらに影ができにくい時間帯に見るのが最も線を確認しやすいとされる。
同じ手を頻繁に見返す必要はない。変化を確認する目的であれば、一か月から三か月に一度程度の頻度で見比べるのが一般的な目安だ。手相は生きている線であるため、同じ日に何度も見返して一喜一憂するよりも、時間を置いて確認する方が実占的な意味がある。
手相占いに定型の呪文や祈願文は、ほとんど伝えられていない。実践者の中には手のひらを見る前に「今の自分の手が教えてくれることを、素直に受け止めます」と心の中で唱えてから観察を始める人もいる。これは手相が「決まった運命」ではなく「今の自分の状態を映す鏡」であるという考え方を、占う前に自分に言い聞かせるための言葉だ。タロットや易のような、対象に呼びかける祈願文とは性質が異なる。
左手と右手を、見比べる
まずどちらの手を見るかを決める。
広く紹介されている見方はこうだ。左手は生まれ持った先天的な運勢と過去、右手は後天的な努力によって変化した運勢と未来を表す。両手を見比べて一致している線は確定的な運勢、食い違っている線は努力次第で変えられる運勢と解釈する。
利き手を「顕在化している現在の運勢」、利き手でない方を「潜在的な資質」として見比べる流派もある。
次に手のひら全体をまず明るい場所に開き、指を軽く自然に開いた状態で、手のひら全体の色つや、厚み、柔らかさをざっと確認する。力を入れすぎないのがコツだ。念のため書いておくと、握りしめると線が歪む。血色が良くふっくらしている手は、生命力と活力が強いとされる。
生命線、頭脳線、感情線を順に追う
親指の付け根の膨らみ、金星丘を囲むようにカーブするのが生命線だ。人差し指と親指の間あたりから始まり、手首方向へ弧を描く。
線の長さそのものよりも、太さと濃さ、とぎれの有無が重要とされる。くっきりと濃く続いている場合は生命力と回復力が強いと読む。
生命線の始点付近から手のひらを横切るように小指側へ伸びるのが頭脳線、知能線とも呼ぶ。線が太く濃ければ意志が強く一つのことに集中するタイプ。細く薄ければ柔軟で発想が多方向に広がるタイプと読む。線の長さで思考の深さや掘り下げ方の傾向を見る。
手のひら上部、小指の下あたりから親指方向へ向かって伸びるのが感情線だ。線の長さで愛情表現の強さや執着心、濃さで感受性の深さを読む。線の先端が人差し指と中指の間で止まっていれば理性的な愛情表現、人差し指の下まで伸びていれば情熱的な愛情表現とされる。
運命線がない人も、たくさんいる
手首の中央あたりから中指に向かって縦に伸びるのが運命線である。どの位置から始まっていても中指方向を向いていれば運命線とみなす。線がはっきりしているほど、自分の意志で人生を切り開く力が強いと読む。
運命線が薄い、または存在しない人も多い。その場合は「自分の意志よりも周囲の流れに乗って生きるタイプ」と解釈される。
薬指の付け根の膨らみ、太陽丘に向かって縦に伸びる線があれば太陽線だ。名声や人気、周囲からの引き立て運を読む。小指の付け根の膨らみ、水星丘に向かって縦に伸びる線があれば財運線として、金銭感覚や商才を読む。
感情線と小指の付け根の間にある短い横線が結婚線になる。本数や位置によって、人生で縁の深い相手との出会いの時期と回数を読む。感情線に近い位置にある結婚線ほど若い時期の縁、小指の付け根に近い位置にあるほど遅い時期の縁を示すとされる。
最後に、七大線を個別に見るだけで終わらせない。線同士の交差や、丘の発達具合を合わせて総合的に読み、一つの線だけで断定しない。これが実占のコツとして強調されている。
手相占いは自分自身の身体を対象とする占術だ。だから道具を清める工程は基本的に存在しない。
ただ実践者の中には、鑑定後に手を丁寧に洗い流すことを「場の切り替え」として習慣にしている人がいる。他人の手相を続けて何人も見る鑑定士が、依頼者ごとのエネルギーを次に持ち越さないための作法だという。
ルーペやスタンプ台などの道具を使った場合は、使用後に柔らかい布で拭き、直射日光や湿気を避けた場所に保管する。
筮竹五十本と、コイン六枚
本格的な易占いには、筮竹と呼ばれる五十本一組の細い竹の棒が必要になる。それを収める筒である筮筒、卦の陰陽を示すために用いる算木、そして立てた卦を確認するための六十四卦一覧表も要る。一覧表の代わりに、易経の本文と卦辞が載った書籍でもいい。
筮竹は専門の易占い道具店や、書店の易経コーナーで入手できる。
一方、これらの専門道具を持たない初心者向けには、簡易な代替法がある。同じ種類、同じ大きさの硬貨を三枚、または六枚用意し、あらかじめ「表が陽」「裏が陰」というように面の意味を自分で決めておく。コイン占いと呼ばれる方法だ。
いずれの方法でも、占った内容と出た卦を記録するための紙またはノートを用意しておく。
一つの事柄について、二度占ってはいけない
易占いは、心身が乱れている状態や、すでに答えが出ている状態で行うと正しい卦が立たないとされる。自分の中で結論が決まっているときは、やめておいたほうがいい。
静かで一人になれる部屋で、朝の澄んだ時間帯、あるいは邪念の少ない時間を選んで行うのが望ましい。
同じ質問を一日に何度も占い直すことは避けるべきとされる。「一事不再筮」、つまり一つの事柄について二度占ってはいけない、という古くからの戒めだ。一度立てた卦の答えに納得がいかなくても、同じ問いを日を置かずに占い直すのは慎む。
方角についての厳密な決まりは伝えられていない。ただ筮竹に向かって座る際は姿勢を正し、道具を大切に扱う気持ちで臨むことが強調される。
始めの一礼と、終わりの一礼
筮竹を用いた本格的な立筮では、占いを始める前に筮竹に向かって静かに深く一礼する。次に両手で五十本の筮竹すべてを持ちながら、占いたい内容、占的を心の中で明確に念じる。
この時、声に出して「これより、何々について易を立てます」と一言唱えてから始める作法が紹介されている。
卦を立てる作業の後半、六本の爻を順に取り出す段階では違う。内卦と外卦を求める際とは異なり「爻をとります」とだけ唱え、この時は占的を重ねて念じ直さない。これが伝統的な作法とされる。
すべての作業が終わった後は、筮竹を筮筒に丁寧に収めながら、易神へ向けて感謝を込めてもう一度深く一礼する。この始めの一礼と終わりの一礼の二つが、易占いにおいて最も重視される儀礼的な所作である。
五十本のうち、一本は使わない
筮竹を使った立筮の手順を追ってみよう。
まず深呼吸を数回行い、体の中の空気を入れ替えるようなイメージで精神を集中させる。筮筒に立ててある筮竹に向かって静かに深く一礼する。五十本の筮竹すべてを両手で持ち上げ、目を閉じて占的を心の中で明確に念じる。
そのうち一本を抜き取り、筮筒に立てて戻す。これは太極、すべての根源を象徴する一本だ。以降の計算には使わず、易神の拠り所として丁寧に扱う。
残り四十九本を両手でまとめて持ち、「内卦をとります」と唱えながら、扇のようにゆっくりと開く。目を閉じ、息をゆっくり吐ききったところで一気に息を止め、無念無想の状態で右手を使い、四十九本の束を一瞬で左右二つに分ける。
天策、地策、人策に分ける
右手側の束を専用の易台の上に置く。これを地策と呼ぶ。左手に残った束は天策だ。
地策から一本を取り出し、左手の薬指と小指の間に挟む。これを人策と呼び、天・地・人の三才を象徴する形になる。
左手に残る天策の束と、指に挟んだ人策一本をあわせて、八本ずつ数えて除いていく。八払いと呼ばれる作業だ。最後まで払いきって残った本数、一から八のいずれかを紙に記録する。これで内卦、下卦の最初の数値が得られる。
同じ作業をもう一度繰り返し、「外卦をとります」と唱えて外卦、上卦の数値を得る。
続けて爻を求める。この卦のどの段階に変化の兆しがあるかを示す一から六の数だ。今度は「爻をとります」とだけ唱え、占的は念じ直さない。同様に四十九本を分けて天策・地策・人策に分け、六本ずつ数えて払う六払いを行い、最後に残った本数を記録する。
内卦・外卦・爻の三つの数値がそろったら、六十四卦一覧表を参照する。該当する卦である本卦と、爻の変化を反映した之卦を確認する。そして卦辞、つまり総合的な意味と、変化のあった爻の爻辞、その段階固有の意味を読み合わせて、占的に対する答えとして解釈する。
すべての記録が終わったら、使用した筮竹をすべて丁寧に筮筒へ収め、易神へ向けて感謝を込めてもう一度深く一礼して締めくくる。
コインでやるなら、六回投げる
筮竹を持たない初心者向けの代替法も紹介しておく。
同じ種類、同じ大きさの硬貨を六枚用意する。「数字が刻まれた面が陰」「絵柄や国名が刻まれた面が陽」というように、あらかじめ表裏の意味を自分の中で統一しておく。
占いたいことを一文で明確にし、心の中で念じながら、六枚のコインを両手でおにぎりを握るように包み込み、上下によく振り混ぜる。「ここで良い」と感じたタイミングで、六枚のコインをテーブルの上に一度に、あるいは一枚ずつ順番に投げる。サイコロを振る要領で構わない。まあ、気楽にやっていい部分だ。
出た面を記録し、これを合計六回繰り返す。一回ごとの結果を下から上へ積み上げるように記録していく。一回目が最下段の初爻、六回目が最上段の上爻になる。
下から数えて一回目から三回目の結果が下卦、四回目から六回目の結果が上卦になる。これを組み合わせ、六十四卦一覧表を参照して該当する卦を特定する。あとは卦辞と爻辞を読み、占的に対する答えとして解釈する。
筮竹は、床に置かない
筮竹は易占いにおいて最も神聖に扱われる道具だ。
使用後は素手で乱雑に扱わず、必ず筮筒に丁寧に立てて収める。直射日光や湿気の当たらない棚の上など、高い位置に安置するのが作法とされる。
他人に無断で触らせない。床や地面に直接置かない。使わない時も定期的に布で埃を払う。こうした日常的な扱いの丁寧さそのものが、道具を清浄に保つ実践だと位置づけられている。
算木や易台についても同様だ。使用のたびに軽く布で拭き、専用の箱や袋に収めて保管する。
コインを使った簡易法の場合は、占い専用のコインを他の用途に使い回さないこと。買い物などの日常使用に混ぜない。専用の小袋や布に包んで保管しておくことで、易占いのための聖別された道具としての意味合いを保てるとされる。
命術に、祈願文の伝統は薄い
最後に、命術全般で唱える開運の言葉について触れておきたい。
四柱推命、九星気学、紫微斗数、宿曜占星術、数秘術、西洋占星術、六星占術、姓名判断。これらは生年月日や氏名という不変のデータを計算して読む。だからタロットや易のように「占いの直前に対象へ呼びかける祈願文」を唱える伝統は薄い。
ただし、鑑定結果を受け取った後の開運行動として、次のような言葉を日々唱える実践は広く紹介されている。
九星気学の吉方位取りを行った後の作法がある。目的地に到着したら「この土地の気を、これからの自分の力にさせていただきます」と心の中で唱える。それから行動を始めるとよいとされる。
数秘術の実践者の間にも、日課として紹介される言葉がある。朝に自分のライフパスナンバーを思い浮かべながら「私は何番の人間として、今日を生きます」と唱えるアファメーションだ。
姓名判断で改名や芸名を用いる場合にも作法がある。新しい名前を初めて名乗る日に「この名と共に、新しい運を歩みます」と心の中で唱え、名前を書き初める。そう勧める鑑定士もいる。
いずれも特定の宗教的な定型呪文ではない。占い師や実践者ごとに言葉は異なる。それでも構造は共通している。対象への感謝と、これからの自分の行動への意志表明。タロットや易占いにおける唱え言葉の作法と、同じ根を持っているわけだ。
