奇怪千万からのお願い

このサイトの記事が面白かった、役に立ったと思って頂けたら、一つお願いがございます。
Amazonで何か買う予定があるとき、その前に下のボタンから入って頂いて買い物をしていただくと
サーバーの運営費と心霊スポットやパワースポットの取材費になります。

ここから入って買い物をすると、金額の数%が紹介料として私に入ります。
貴方様の支払いが増えることは一切ありません。買う物も何でも構いません。
記事をもっとたくさん増やしたいので、ご協力をお願いします。

当サイトではアマゾンアソシエイト以外のアフィリエイトは使用しません
(記事が見づらくなるから・・・)

時間・記憶のずれ

怪談

田原坂、三月二十日の四十分

毎朝、家の前の桜を数えてから仕事に出る。川沿いの道に一列に植わった、十二本だ。古い借家に一人で住んで、もう十年になる。端の一本は、その借家の奥の間の窓のすぐ前に立っている。夏はその枝の影のおかげで、奥の間の畳が焼けずにすむ。
怪談

本牧の白い家と、夜中の水槽ノート

律子の朝は、夜中の三時に始まる。港のほうのパン工場で、早番をしている。五時には白い帽子をかぶって、粉の袋を開けている時間だ。家を出るのは四時十分。バスはまだ走っていないから、自転車で坂を下りていく。
怪談

夢の地下道、二十二日のレシート

週に何度か、夜食を買いに行く。一時ちょうどに部屋を出るから、日付でいえば、もう次の日だ。コンビニまで歩いて、二十分ほどで戻ってくる。そのあいだだけ、携帯で音声の配信をつける。仕事は、会議の録音を文字に起こすことだ。
怪談

新三郷の采女ガード、十七時十一分

雨の夕方、新三郷駅からタクシーで采女ガードをくぐった。短いはずの穴の中で水を四つ数え、窓を二回叩かれ、出てから見た携帯は乗った時と同じ十七時十一分のままだった。
怪談

しとどの窟、下りの最終バス

椿台の停留所で十分待って乗った、下りの最終便。扉が閉まって携帯を見ると、十六時五十八分。さっき見たときは、十七時六分だったはずだ。
怪談

出流原弁天池の宿で、娘の爪が短くなっていた

宿の二階の窓から見下ろすと、外灯の光が水を通り抜けて、底の石まで届いている。鯉が白く浮いていた。宙に止まっているように見える。
怪談

川崎・生田の入らずの森、裏の鍵

二時の巡回から戻って、日誌を開いた。「二時 構内 異常なし」。もう書いてある。わしの字だ。判子も押してある。零時の分は覚えている。二時の分を書いた覚えがない。
怪談

牛久の廃公園、渡った覚えのない島

牛久沼の東岸から、渡れないはずの島を見に行った。友人は小さいころボートで渡ったと言う。杭は五本だった。
怪談

読む声

転居する友人の手紙を広げているうちに、普通の言葉が別の意味でしか理解できなくなる。机の上では、伏せた便箋の折り目が動き始めた。
怪談

顔を向けないで

初めての体験稽古で、何もせず相手を見ているよう言われた。彼女には、私が違う場所から覗いているように見えた。