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2026-09

怪談

窓の赤い泡

休憩施設の喫煙所で、ガラスの赤い跡が泡になって離れた。高速道路へ戻ると、その泡が窓の外を車と同じ速さで飛んでいた。
怪談

好きだった菓子

釣りへ行く夫の袋に、私の好きな菓子が入っていた。別の女へ渡す物だと思って後を追うと、夫は川岸で私の名前を呼び、石に向かって手を合わせていた。
怪談

石の取り分

境の塀を壊す日、内藤は石まで半分に分けると言い出した。昼になると、空の袋を広げた人たちが、庭の外で作業を見ていた。
怪談

片づけた火

海辺の催しが終わり、火も消したはずだった。事務所の窓から見えた赤さを確かめに行くと、片づけた椅子に何人も座っていた。
怪談

夜の白布

夜の採集を手伝いに行った。先生は人の気配のない安全な場所だと言ったが、白布の裏から、昼間に父へついた嘘を笑う声がした。
怪談

池を埋めるまで

祖母は入院中、鯉をよそへ移したら池へ水を戻さないでほしいと頼んでいた。家族へ伝えずにいるうち、祖父の家に知らない女の人が住むようになった。
怪談

白い包みの乗客

帰国便で、隣の男に頼まれて白い包みを持ち上げた。眠っている間に窓際の席は空き、その包みが足元へ落ちた。
怪談

沢村の釣り靴

二泊三日の釣りから帰り、友人に靴の話をすると、俺は釣りをしないと言われた。宿では二人で泊まったことを覚えていたが、当の本人は別の場所にいた。
怪談

朝焼けの縁

夜明け前の山道を自転車で上っていた。谷から広がる朝焼けの中に、同じように自転車を押す男が見えた。だが、その男の立っている所には道がなかった。
怪談

祖父の迎え

迎えに来るのが好きな祖父は、毎週木曜日にも車を使った。私が代わりに運転すると、峠の待合所にいた女の人を乗せ、一周して同じ待合所へ戻すように言われた。