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2026-09

怪談

冷蔵庫の客間

夫の昔の同僚だという客を居間へ通した。冷蔵庫の白い扉には、その客と楽しそうに話す自分が映った。
怪談

川向こうの花火

対岸の誘導員をしていた夜、川に魚の影が現れた。観客は空ではなく、水面へ拍手をしていた。
怪談

お隣の解体日

隣家の解体で、暗かった台所に光が入った。残った壁には、ないはずの階段の影が続いていた。
怪談

ひと晩の髪

白髪の中に生えた一束の黒髪を、祖父は喜んだ。翌朝には肩へ届いていた。
怪談

タクシーの花束

途中で乗ってきた女は、先客と同じ花束を持ち、同じ行先を告げた。
怪談

蓋を開ける人

開かない小箱の修理代は八万円。中から聞こえたのは、女が爪を切る音だった。
怪談

爪先だけの帰省

実家に戻った兄の靴には、左右とも親指の先に穴が開いていた。
怪談

暗室の昼ごはん

閉店を控えた写真館で、店主は使われていない暗室に昼飯を食べに入る。
怪談

肖像の席

港の似顔絵屋に来た男は、まだ見えない船を描いてほしいと言った。
怪談

九階の土砂降り

出張中の部屋から漏水の連絡が来た。戻ると、乾いた天井の下に雨が降っていた。九階の窓を少し開けると、外から白い手が入ってきた。